# バイタルサインと診察で肺炎は除外できる? **Published by:** [byc](https://paragraph.com/@bycomet/) **Published on:** 2025-02-02 **URL:** https://paragraph.com/@bycomet/4BSaEIFRk8PNffmbHaSd ## Content 2019年に発表されたメタ分析によると、急性呼吸器感染症の成人患者において、バイタルサインおよび胸部診察所見が正常の場合には感度 96%と、市中肺炎(CAP)の可能性は極めて低くなります。研究の概要参加者成人および青年の外来患者(救急外来、プライマリ・ケア、緊急診療所)介入バイタルサインの評価(体温、呼吸数、心拍数)診察(胸部聴診所見の確認)【正常なバイタルサインの定義】 体温(Temperature):37.8°C以下(≤37.8°C) 心拍数(Heart Rate):100回/分未満(<100 bpm) 呼吸数(Respiratory Rate):20回/分未満(<20 bpm)比較胸部X線(CXR)を標準診断法とした場合の診断精度CRP(C-リアクティブプロテイン)や臨床診断スコアとの比較アウトカム市中肺炎の除外における臨床診断ルール(CDR)の診断精度(感度、特異度、陰性尤度比)研究デザインシステマティックレビューおよびメタアナリシス MEDLINEデータベースを用いた文献検索(検索期間:~2017年1月)結果12件の前向き研究(1984年~2010年、うち6件は救急外来、6件はプライマリ・ケア施設で実施)研究対象となった患者総数:10,514人各研究のサンプルサイズ範囲:246~2,820人正常なバイタルサインのみでCAPを除外する場合陰性尤度比(LR-): 0.24(95%CI, 0.17–0.34)感度: 89%(95%CI, 79–94%)CAPリスクが4%の場合、CAP発症確率は0.4%に低下正常なバイタルサイン + 正常な胸部診察所見でCAPを除外する場合陰性尤度比(LR-): 0.10(95%CI, 0.07–0.13)感度: 96%(95%CI, 92–98%)AUROCC(ROC曲線下面積): 0.92文献Marchello CS, Ebell MH, Dale AP, Harvill ET, Shen Y, Whalen CC. Signs and Symptoms That Rule out Community-Acquired Pneumonia in Outpatient Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Am Board Fam Med. 2019;32(2):234-247. doi:10.3122/jabfm.2019.02.180219.研究の背景市中肺炎(CAP)は成人における主要な死亡原因の一つであり、米国では年間50,000人以上が死亡している。CAPの診断には胸部X線(CXR)が推奨されるが、全患者に撮影するのはコスト、利便性、被ばくの観点から現実的ではない。医療コスト削減や不要な抗生剤使用を減らすため、低リスクの患者を適切にスクリーニングし、X線検査を省略する**臨床診断ルール(CDR)**の確立が求められている。これまでの研究ではCAPの診断に焦点が当てられてきたが、CAPを除外するための臨床基準についての体系的な検討は少ない。本研究の目的は、外来患者においてCAPの可能性が低い患者を特定する臨床診断ルール(CDR)を評価し、最も有効な基準を明らかにすること。研究の限界研究の質にばらつきがある採択した12件の研究のうち半数(6件)は中等度のバイアスリスクがあると評価された。古いデータに基づく研究が多い研究の対象期間は1984年~2010年であり、最新の診断技術や医療環境を反映していない可能性がある。一部の研究では、CAPの診断基準が統一されていない「異常な肺診察所見」や「発熱」の定義が研究間で異なるため、結果にばらつきが生じる可能性。一部の研究では、低リスク患者のX線撮影がランダム化されており、CAPの見落としがあるかもしれないすべての患者にCXRを実施していない研究も含まれており、見逃し率に影響する可能性がある。CRP(C-リアクティブプロテイン)などのバイオマーカーを含めた評価が十分ではない一部の研究ではCRPを含む診断ルールを評価しているが、本研究では主にバイタルサインと肺診察に基づく診断を検討。医師の「総合的な臨床判断」の役割を十分に評価できていない医師の直感的な判断(例:「これはCAPではない」)が診断に与える影響を詳細に分析していない。「高リスク患者」に対する臨床診断ルールの有効性は検討していない低リスク患者の除外に焦点を当てており、重症CAPのリスク評価には適用できない可能性がある。新しい診断技術(AIや機械学習など)との比較がないEHR(電子カルテ)やAIを活用した診断精度との比較は行われていない。 ## Publication Information - [byc](https://paragraph.com/@bycomet/): Publication homepage - [All Posts](https://paragraph.com/@bycomet/): More posts from this publication - [RSS Feed](https://api.paragraph.com/blogs/rss/@bycomet): Subscribe to updates - [Twitter](https://twitter.com/bycomet): Follow on Twitter