# インフルエンザにNSAIDは安全? **Published by:** [byc](https://paragraph.com/@bycomet/) **Published on:** 2024-12-17 **URL:** https://paragraph.com/@bycomet/nsaid ## Content 2020年に発表された観察研究によると、インフルエンザの入院患者において、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用は、集中治療室(ICU)入室のリスクは多くなる傾向がみられました。研究の概要参加者デンマークの40歳以上のインフルエンザ感染患者7,747人(2010年~2018年)PCRまたは抗原検査でインフルエンザ陽性と確認介入入院60日以内にNSAID処方比較NSAIDを使用していないアウトカム主要アウトカム: ICU入室および30日以内の死亡副次アウトカム: 細菌性肺炎患者の胸膜肺合併症(膿胸・肺膿瘍)研究デザインデンマーク全国データを用いた後ろ向きコホート研究。傾向スコアマッチングを実施。結果NSAID使用者(520人)と非使用者(7,227人)を比較した結果:ICU入室:未調整リスク比(RR): 1.51(95%CI, 1.26-1.81)傾向スコアマッチ後RR: 1.25(95%CI, 0.95-1.63)長期NSAID使用: RR 1.90(95%CI, 1.19-3.06)30日以内の死亡:未調整RR: 0.91(95%CI, 0.66-1.26)傾向スコアマッチ後RR: 1.03(95%CI, 0.66-1.60)長期NSAID使用: RR 1.43(95%CI, 0.56-3.65)細菌性肺炎患者においてNSAID使用は胸膜肺合併症のリスク上昇と関連(RR 2.13, 95%CI, 1.63-2.77)文献Lund LC, Reilev M, Hallas J, Kristensen KB, Thomsen RW, Christiansen CF, Sørensen HT, Johansen NB, Brun NC, Voldstedlund M, Støvring H, Thomsen MK, Christensen S, Pottegård A. Association of Nonsteroidal Anti-inflammatory Drug Use and Adverse Outcomes Among Patients Hospitalized With Influenza. JAMA Netw Open. 2020 Jul 1;3(7):e2013880. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.13880. PMID: 32609352; PMCID: PMC7330719.研究の背景NSAIDと呼吸器感染症の関連性:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用は、細菌性肺炎患者で胸膜肺合併症(膿胸や肺膿瘍)のリスクを増加させることが報告されている。その理由として、NSAIDが炎症反応を抑制し、症状をマスキングすることで治療が遅れる可能性が指摘されている。COVID-19パンデミックによる懸念:COVID-19の初期症例報告で、NSAID使用が重症化を引き起こす可能性が示唆され、医療現場での懸念が高まった。一方、欧州医薬品庁(EMA)は「NSAIDがCOVID-19を悪化させる科学的証拠はない」との声明を発表したが、依然として不確実性が残る。既存のエビデンスの問題点:これまでの研究の多くは、細菌性肺炎や非特異的な肺炎に焦点を当てており、ウイルス性肺炎(インフルエンザなど)における影響は不明確である。特にインフルエンザやCOVID-19では、胸膜肺合併症(膿胸・肺膿瘍)よりも集中治療室(ICU)入室や死亡が重要なアウトカムとなる。研究の目的:インフルエンザまたはインフルエンザ関連肺炎で入院した患者を対象に、NSAID使用がICU入室や30日以内の死亡に関連するかを明らかにすること。交絡因子交絡因子として調整された因子本研究では、傾向スコアマッチング(Propensity Score Matching)を使用して、NSAID使用者と非使用者の間で交絡を調整しました。 調整された因子は以下の通りです:患者背景年齢(連続変数)性別入院年薬剤使用歴抗高血圧薬抗糖尿病薬低用量アスピリン免疫抑制剤抗生物質(直近の使用)鎮痛薬(オピオイド、ベンゾジアゼピン受容体作動薬、ベンゾジアゼピン)ステロイド薬(全身性および吸入ステロイド)併存疾患(既往歴)慢性閉塞性肺疾患(COPD)心血管疾患糖尿病肝疾患腎機能障害認知症癌肥満脳卒中(虚血性)アルコール関連疾患喘息調整されていないが影響があると考えられる因子以下の因子はデータの制約により調整されていませんが、ICU入室や死亡に影響を及ぼす可能性があります。臨床的重症度入院時のバイタルサイン(例: 発熱、呼吸数、酸素飽和度)初期治療時の酸素投与や輸液管理の有無感染の重症度を示すスコア(例: CURB-65スコア、SOFAスコア)NSAID使用の理由(適応)NSAIDが使用された理由(例: 痛み、発熱)はデータには含まれていない。NSAID使用が重症化の兆候である場合、プロトパシー・バイアス(因果関係の逆転)が生じる可能性がある。ライフスタイル要因喫煙歴や飲酒量(NSAID使用者では背景リスクが異なる可能性がある)運動習慣や栄養状態(慢性疾患の重症度に影響)医療へのアクセスや診療行動医療機関受診のタイミング(NSAIDが症状をマスキングし、受診遅延を引き起こす可能性)既存の治療方針や病院の対応力(ICUの収容能力や使用基準など)過去の感染症歴過去のウイルス性または細菌性肺炎の既往が、現在の重症度に影響する可能性。結果に関与が示唆される要因NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)使用がICU入室や死亡の増加に関連している可能性が示唆される理由として、以下の原因が考えられます:1. NSAIDの生理的作用による影響炎症反応の抑制NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用により、プロスタグランジンの産生を抑えます。これにより炎症や発熱が軽減されますが、以下の影響が考えられます:免疫反応の低下: 炎症は感染症と戦うための重要な生体防御機構です。NSAIDによる炎症抑制が、免疫細胞(好中球など)の機能を低下させ、感染の悪化や遷延を引き起こす可能性があります。初期症状のマスキング: 発熱や痛みを軽減するため、患者が重症化しても症状に気づきにくく、受診や治療開始が遅れる可能性があります。2. 呼吸器感染症への影響肺合併症の増加NSAID使用は、細菌性肺炎や胸膜肺合併症(膿胸や肺膿瘍)リスクの増加と関連していることが報告されています。これにより、ICU入室が必要なほど病態が悪化する可能性があります。原因:抗炎症作用による初期の肺炎症状の軽減。遅れた治療介入により、細菌感染が進行するリスクの増加。3. 腎機能や循環器系への悪影響急性腎不全のリスクNSAIDsは腎臓における血流を維持するプロスタグランジンの産生を抑えるため、急性腎不全のリスクを高めます。特に感染症や脱水状態の患者ではそのリスクが増大します。結果: 重症化に伴うICU入室や死亡のリスクが高まる。心血管系への影響NSAID使用は血圧上昇や体液貯留、心不全増悪と関連しており、基礎疾患(心血管疾患)を持つ患者では悪化の要因となり得ます。4. 長期使用者における背景因子基礎疾患の存在NSAIDを長期使用している患者は、慢性疼痛や関節炎などの基礎疾患を抱えている可能性があります。これらの患者はもともと健康リスクが高く、感染症やその合併症で重症化しやすい可能性があります。例:慢性炎症性疾患(関節リウマチ)心血管疾患や腎機能障害薬剤の相互作用長期NSAID使用は他の薬剤(抗凝固薬、降圧薬など)と相互作用し、病態を複雑にする場合があります。5. 初期の治療遅延(プロトパシー・バイアス)NSAID使用による症状のマスキング発熱や痛みを抑えることで、感染症の進行を見逃し、受診や治療が遅れる可能性があります。これがプロトパシー・バイアスとして現れ、結果として重症化やICU入室の増加に寄与する可能性があります。まとめNSAID使用がICU入室や死亡増加に関連する理由として、免疫反応の抑制、感染症の悪化、腎機能や心血管系への悪影響が挙げられます。また、長期NSAID使用者は基礎疾患が多い傾向にあるため、重症化リスクが高い可能性も考慮されます。症状のマスキングによる治療遅延も重要な要因です。研究の限界データの限られた詳細度臨床的な重症度(バイタルサイン、臨床スコアなど)や直接的な虚弱性の指標がデータに含まれていない。フレイル(虚弱)の未測定が結果に影響する可能性がある。残留交絡(Residual Confounding)傾向スコアマッチング(PSマッチング)により観測された交絡因子を調整したが、未測定の交絡(例: ライフスタイル、受診行動)が残存する可能性がある。NSAID使用の定義NSAID使用は処方データを基にしているが、市販薬(低用量イブプロフェンなど)の使用は捕捉されていない。ただし、高齢者では市販薬の使用が少ないため、この影響は限定的と考えられる。インフルエンザ以外のウイルス感染症本研究はインフルエンザ患者に焦点を当てており、他のウイルス性肺炎(例: COVID-19、RSウイルス感染症)への一般化はできない。細菌性重複感染のデータ不足インフルエンザ患者における細菌性二次感染の有無は評価されていない。これは重症化リスクに重要な影響を及ぼす可能性がある。NSAID曝露の評価の不正確性NSAIDの使用は「60日以内の処方」として定義されており、実際の服薬遵守状況や使用の頻度・量が完全に反映されていない。因果関係の証明ではない観察研究であるため、NSAID使用とアウトカム(ICU入室・死亡)の因果関係を確定することはできない。この研究はデンマークの全国データを用いた高い信頼性を持つ研究ですが、未測定の交絡因子やデータの限界が結果に影響する可能性があります。特に臨床的な重症度やNSAIDの実際の使用状況の不正確性が残る点は重要な限界です。 ※情報収集・要約記事作成に生成AI(ChatGPT o1 pro mode)を活用しています。 ## Publication Information - [byc](https://paragraph.com/@bycomet/): Publication homepage - [All Posts](https://paragraph.com/@bycomet/): More posts from this publication - [RSS Feed](https://api.paragraph.com/blogs/rss/@bycomet): Subscribe to updates - [Twitter](https://twitter.com/bycomet): Follow on Twitter