# 分散SNSに期待して、少しだけ疲れた音楽クリエイターの話 > FarcasterとBlueskyをめぐるこの数日の気持ち **Published by:** [Genx Notes](https://paragraph.com/@genxnotes/) **Published on:** 2025-12-10 **Categories:** farcaster, bluesky, ウォレット **URL:** https://paragraph.com/@genxnotes/a-music-creator-tired-of-decentralized-sns ## Content この数日、FarcasterとBlueskyを触りながら、なんとも言えない「がっかり感」に包まれている。分散型SNSにずっと期待してきたからこそ、その変化が余計によく見えてしまう。 Farcasterは、「毎日10億人が使う分散型ソーシャルネットワーク・プロトコル」を目標に掲げてスタートした。大きな理想だと思いつつ、「もしかしたら新しいソーシャルの形が見られるかもしれない」と、音楽クリエイターの一人としてワクワクしていた。 ところが2025年12月、創業者のdwrは「ソーシャルファースト戦略はうまくいかなかった」とはっきり認め、ウォレット中心のプロダクトに舵を切ると宣言した。これからは「良いウォレットを作り、そのウォレットのユーザーがプロトコルのユーザーになる」という成長戦略でいく、と。 発表としては筋が通っているし、プロダクトの数字だけ見れば合理的なのかもしれない。でも、ユーザーとしての正直な気持ちは「結局そこに行くのか…」という肩透かしに近い。 分散型ソーシャルに期待していたのは、「オンチェーンでギャンブルするためのUI」ではなく、「表現や対話がプラットフォームに完全には握られない場」だった。それが、「ウォレットが伸びているから、これからはウォレットに全振りします」と言われてしまうと、ソーシャル部分は"おまけ"のように扱われた気がしてしまう。 一方、Blueskyもこのタイミングで別の方向から現実を突きつけてきた。各国や米国の州レベルで進むオンライン年齢規制に対応するため、公式ホストでは年齢確認(age verification)を導入し、ログイン後にそれを済ませないとタイムラインすら見られない仕様になってきている。 もちろん、法律がある以上、企業としては従わざるを得ない面も理解できる。ただ、「分散型プロトコルだからこそ、もっと別のやり方を模索してほしかった」という気持ちも正直ある。 Farcasterはビジネスの現実に押し戻され、Blueskyは規制の波に飲み込まれていく。どちらも「分散SNS」の旗を掲げていたのに、その旗の意味がこの一年でかなり薄まってしまったように感じる。 そして、どうしても意識のどこかにXが浮かぶ。どれだけ分散だ、Web3だ、新しいプロトコルだ、と言っても、結局「日常的に人がいる場」や「ニュースが流れてくる場」としての存在感で、Xはまだ圧倒的なままだ。 分散SNSたちは、「Xに対抗する新しい何か」というより、「Xの外側で実験を繰り返している小さな島」に見えてしまう。 「最初から10億人なんて目標を掲げずに、もっと小さくてもいいからソーシャルの理想を追ってほしかった」とも思う。でも、資金調達や採用、メディアの期待を考えれば、そういう“デカいビジョン”を掲げざるを得ない構造もあるのだろう。 問題は、そのビジョンに惹かれてしまったユーザーやクリエイターの気持ちだ。「毎日10億人が使う分散型ソーシャルネットワーク・プロトコル」という言葉を、そのまま信じたからこそ、舵切りの瞬間に強い虚しさが残る。 「期待した自分がバカだったのかな」と一瞬思う。 でも実際には、FarcasterもBlueskyも、立ち上がりの頃はそれだけの期待を抱かせるだけのものを持っていたし、そこに希望を見た人たちはたくさんいた。 だから、この感情は自分だけのものではないはずだ。 音楽クリエイターとして、この状況にどう折り合いをつけるか。いま考えているのは、「どこか1つの理想のSNSにすべてを賭けない」ということだ。作品の本体とアーカイブは、自分のドメインとBandcampに置く。SpotifyやApple Musicは、受動的リスニングのインフラだと割り切る。Xやその他のSNSは、告知と軽いコミュニケーション用の入口にとどめる。FarcasterやBluesky、そしてZoraやBaseのようなWeb3系は、「実験とニッチな出会いの場」として扱う。理想を全部、ひとつのプラットフォームに投影しない。プラットフォームは変わるし、法規制も、プロダクトの方向性も、突然ひっくり返る。 その前提に立つと、「ここが壊れても、自分の作品とつながりはどこに残るか」「このサービスが方針転換したとき、自分はどのくらい傷つかずに済むか」 という視点でレイヤーを分けておくことが、クリエイターのメンタルを守る手段にもなってくる。FarcasterもBlueskyも、きっとこれからも変わり続ける。もしかしたら、またどこかで面白い方向に振れる瞬間が来るかもしれないし、その前に別のプロトコルが出てくるかもしれない。 その時まで、自分は自分でビートを作り、曲を出し、自分の場所に作品を残し続ける。分散SNSへの期待が少ししぼんだとしても、作ること自体まで手放す理由にはならないからだ。 ## Publication Information - [Genx Notes](https://paragraph.com/@genxnotes/): Publication homepage - [All Posts](https://paragraph.com/@genxnotes/): More posts from this publication - [RSS Feed](https://api.paragraph.com/blogs/rss/@genxnotes): Subscribe to updates - [Twitter](https://twitter.com/genxnotes): Follow on Twitter - [Farcaster](https://farcaster.xyz/genxnotes.eth): Follow on Farcaster