# LUNAから見るインセンティブという脆弱性 **Published by:** [Mozu9](https://paragraph.com/@mangetsu/) **Published on:** 2022-05-14 **URL:** https://paragraph.com/@mangetsu/luna ## Content クリプトの歴史に刻まれる出来事が起こった。なんとLUNAというトークンが一夜にして市場価値が99%下落してしまったのだ。1週間のバンドで見ると、日本円で1トークン1.1万円がわずか一週間で0.0001円になってしまった。このインパクトをわかりやすく例えると、お財布に入っている一万円札が何の予告なく、いきなり価値貯蔵手段、価値交換手段として機能しなくなり、ただの紙切れに価値が転じてしまったようなイメージだ。(お店に言っても、銀行に行っても、今持っている一万円札が使えなくなる) https://coinmarketcap.com/ja/currencies/terra-luna/ そんなLUNA大暴落はなぜ起きたのか、これをクリプト全体にどのような影響を及ぼしたかどうかを完全なる僕の視点で解釈、整理してみる。一応お伝えしておくと、僕は情報工学に興味がある学生です。なので経済的合理にそぐわないこともあるかと思いますが、温かい目で見ていただければと思います。 今回のLUNA暴落が意味することは、インセンティブ設計になんらかの欠点があるだけで、システム全体が崩壊するというWeb3ならではの脆弱性が暴かれ、おまけに立証されたことだろう。 LUNAはUSTを1ドルに保つ(ソフトペッグ)ために裏付けられるトークンである。ガバナーは自分のLUNAをステーク(預け入れ)することでUSTを生成できる。また、USTを破棄することで自身がステークしたLUNAを引き出せる。つまり、LUNAトークンのステーキングしUSTの需要と供給をコントロールすることで1USTの市場価値を1ドルにペッグさせるという仕組みになっている。 ではなぜ、ガバナーになるのか? LUNAガバナーのインセンティブとしては以下の2つがある。 USTの市場価値が 1ドル未満の場合、ガバナーはUSTをバーンする(トークンを誰も使えなくすることの比喩表現。つまり、USTの総数を少なくし、USTの供給を全体的に下げることに貢献する)ことでUSTの価格が1ドルに近づく。ガバナーはUSTの価値が1ドル以下だとしても、実質価値1 ドルに対応するLunaトークンをゲットできる。これがガバナーの利益(つまり、バーンされたUSTの市場価値と1ドルあたりのLuna市場価値の差分がガバナーの報酬でありインセンティブ) 逆にUSTの市場価値 が1ドル以上の場合、ガバナーはLUNAをステークする(つまり、USTの総数を多くし、USTの供給を全体的に上げることに貢献する)ことで、USTの価格が1ドルに近づく。ガバナーはUSTの価格が1ドル以上だとしても、1ドル相当のLUNAをステークすることで、1USTをミントできる(新しくトークンを発行する。総量を増やすことを指す。つまり、例としてUSTが1.2ドルの場合、なんと1ドル分のLUNAトークンで1.2ドル相当のUSTを発行できるということ。ガバナーには実質0.2ドルの利益が入る。) 少しインセンティブを詳細にお話したが、暴落した理由を端的に申し上げると、自分の資産をステークし、USTと1ドルのソフトペッグを行うインセンティブが失われたために、LUNAは大暴落した。つまりUSTのソフトペッグシステムが崩壊したことによる参事と言ってもいいだろう。 ことの発端はUSTが1ドルを下回っていたため、ガバナーコミュニティによってUSTがバーンされ、USTが1ドルに向けて回復する路線をたどっていたときのことだった。 本来のインセンティブ設計から考えると、USTがバーンされ続けると、いずれUSTの需要曲線に達するのでUSTの価格が1ドルを上回り、USTのバーンとLUNAのミントが止まるはずだった。 だが、何らかの理由(おそらく「クジラ」と呼ばれるある暗号資産を大量の保有する富豪にLUNAよる大量のミント)によって、LUNAの価値が大幅に下がり、USTの引き換え先であるLUNAが不安定になってしまった。 したがって、USTからLUNAのスワップから得られるガバナーへの利益が、LUNAトークンの市場価値の変動によって機能しなくなり、むしろ損失が生まれてしまう結果となってしまった。 どういうこと?、、つまり、 「USTをバーンしたその瞬間は1ドル分のLUNAがちゃんともらえていたが、LUNAの市場価値が不安定になっているので、経時的にLUNAの価格が下がる一方に。よってUSTのインセンティブ原理が機能せず、コミュニティは、利益による儲けよりも資産を守るみたいな感じに意識の転換が起きた。よってUSTの価格関係なしに、みんなUSTからLUNAへスワップ、さらにLUNAを売却の流れが止まらなった。」 よって、USTの市場価格関係なしに、LUNAの価値が独立して下がったので、USTとLUNAの関係性から生じるガバナーのインセンティブが破壊され、結果的にガバナーは相次いでLUNAをDeXなどの取引市場へ大量売却し、LUNA単体でさらに大暴落してしまった。つまり負のループから抜け出せなくなってしまった。 ソフトペッグシステムの崩壊は、担保のバックアップが不在だったことが一番の原因ではないかと僕は考えてる。同じくステーブルコインのMaker(LUNAのポジション)は、DAI(USTのポジション)の発行に複数のアルトコインを承っており、一体多数の暗号資産を担保して1ドルにソフトペッグしていた。だが、USTはLUNAトークンを一対一に引き換えることによって、LUNA/USTコミュニティ主権なソフトペッグを行っていた。 以下のチャートは私の分析だが、ガバナンストークンの市場価値は以下のような関係性(フィードバック構造)になっているのではないかと推察している(MakerDAOをベースに組み立てたのでLUNAを説明するために作ったわけではないが、基本の構造は同じだと思う)。今回の場合、黄色のブロックのところの「コミュニティの目的達成」が選択の結果に沿わなくなったことでガバナンストークン「LUNA」の市場価値は暴落してしまった。これは、「コミュニティの目標達成によって得られる報酬」がなくなってしまったとも言いかえられる。したがって、市場価値が下がることによって「コミュニティの目標の達成」よりも自身の資産を守る方向に意識が偏ることにより、この負のループから抜け出せなくなってしまった。 都内でのWeb3勉強会で用いた資料 もしDAIのように複数の担保で機能していれば、もしあるひとつの担保元の市場価値が暴落したとしても、他のアルトコインの市場価値は、理論上、暴落しないはずなので影響は最小限に抑えられる。だが、今回は担保がLUNAトークンのみなので、担保元が崩壊すると、ステーブルコインの維持におけるインセンティブが破壊され、ガバナンストークンは大暴落した。LunaのCEOはツイッターでペッグに関する声明を出してるけど、 インセンティブの設計が不十分であった事実をコミュニティは認めざる負えないため、 もしUSTが緊急の投資によって、価格が正常に機能したとしても、Lunaへ投資リスクは、この事態が起きる前に戻るわけではない、と思う。 しかし、勘違いしほしくないこと上がる、それはこの脆弱性はLUNAコミュニティだけに当てはまるということだ。あくまでLUNAコミュニティのインセンティブが破壊されただけで、他のステーブルコインを始めとしたブロックチェーン系のコミュニティは、少なくともLUNAと同じインセンティブ設計になっていない。また今回、LUNAがあまりにも暴落したのでブロックチェーンは終わりだみたいな根拠lessな噂が広まり、LUNA以外の暗号資産も売った人がおそらく続出した。その影響もあり一時、LUNA以外のBitcoinやアルトコインも半年間の中でみると最低額を叩き出してしまったが、他のブロックチェーンの脆弱性を暴いたわけではないことを添えておく。 2022.05.14 ## Publication Information - [Mozu9](https://paragraph.com/@mangetsu/): Publication homepage - [All Posts](https://paragraph.com/@mangetsu/): More posts from this publication - [RSS Feed](https://api.paragraph.com/blogs/rss/@mangetsu): Subscribe to updates