# 英国の「健康最優先」論が問いかけるもの

*健康は「医療費」ではなく「国の資産」である*

By [Small Medicine](https://paragraph.com/@smaller) · 2026-07-27

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健康政策というと、私たちはまず病院や診療所、医師不足、医療費、待機時間といった問題を思い浮かべます。

しかし、2026年7月23日にThe BMJに掲載された編集長論説「Why Burnham must take “health first” mainstream」は、もう一段上流から健康政策を考える必要があると訴えています。

論説の中心的な主張は明快です。

**経済が成長した結果として健康になるのではなく、国民が健康でなければ、持続的な経済成長そのものが成立しない。**

したがって、健康は保健医療部門だけが扱う課題ではありません。雇用、所得、住宅、教育、交通、食環境、地域政策、気候変動対策を含め、政府全体が健康を共通目標として政策を設計すべきだというのです。([BMJ](https://www.bmj.com/content/394/bmj-2026-100362?utm_source=chatgpt.com))

  

英国で進む「健康基盤」の悪化
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この論説の背景には、英国民の健康状態が過去10年間で明確に悪化しているという危機感があります。

Health Foundationの報告によると、英国の健康寿命は2014年前後から2022～24年までの間に約2年短くなりました。長期的な健康問題を抱える生産年齢人口も、約1170万人から約1570万人へと増加しています。

さらに、豊かな地域と貧しい地域の間では、健康に暮らせる期間に最大約20年の差があります。英国の健康問題は、単なる高齢化や医療需要の増加ではなく、働く世代を含む社会全体の健康基盤の弱体化として現れているのです。([ガーディアン](https://www.theguardian.com/society/2026/jul/19/restoring-britains-health-to-2014-levels-could-add-2-to-gdp-thinktank-says?utm_source=chatgpt.com))

健康状態が悪化すれば、医療機関を受診する人が増えます。しかし影響は、それだけにとどまりません。

病気によって働けない人が増え、欠勤や離職が生じ、働いていても十分な能力を発揮できない状態、いわゆるプレゼンティーズムが増えます。税収は減少し、医療費や社会保障給付は増加します。

つまり、国民の健康悪化は、NHSの負担であると同時に、労働市場、企業活動、財政、地域経済を揺るがす問題でもあるのです。

  

健康を2014年の水準に戻せば何が起きるか
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Health Foundationは、英国民の健康状態を2014年の水準まで回復できた場合の経済効果を試算しています。

その結果、年間の経済産出額は約570億ポンド増加し、GDPを約2％押し上げる可能性があると推計されました。

さらに、税収の増加と、社会保障給付やNHS支出の減少を合わせれば、財政への効果は年間約720億ポンドに達するとされています。([ヘルス.org.uk](http://ヘルス.org.uk))

もちろん、これは特定の政策介入を行ったランダム化比較試験の結果ではありません。

「健康状態が2014年水準に戻った場合」という反実仮想に基づく経済モデルであり、570億ポンドや720億ポンドがそのまま実現することを保証する数字ではありません。健康を改善するために必要な政策費用や実施期間、政策間の相互作用も別途検討する必要があります。

それでも、この試算には重要な意味があります。

これまで健康政策は、しばしば「どれだけ医療費がかかるか」という支出の側から評価されてきました。しかし健康が改善すれば、労働参加が増え、生産性が高まり、税収が増え、医療・福祉支出が減る可能性があります。

健康への投資には、医療の外側にまで広がる社会的・経済的リターンがあるのです。

  

NHSを修復するだけでは健康な国にはならない
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英国では、NHSの待機リスト、医療従事者不足、地域医療や社会的ケアの危機が大きな政治課題となっています。

これらへの対応は不可欠です。しかし、病院の受け入れ能力を拡大し、診療件数を増やすだけでは、国民の健康状態そのものが改善するとは限りません。

医療は、すでに発生した病気を診断し治療することはできます。しかし、低所得、不安定な雇用、寒く劣悪な住宅、社会的孤立、利用しにくい公共交通、健康的な食品へのアクセス不足、大気汚染といった、病気を生み出す条件を医療機関だけで変えることはできません。

Health Foundationは、人々の健康を最も強く規定するのは、医療サービスだけではなく、人々が暮らす社会的、経済的、商業的、環境的条件であると指摘しています。([Health Reader](https://reader.health.org.uk/creating-healthy-lives/executive-summary))

医療提供体制だけを拡大する政策は、いわば床に流れ続ける水を拭きながら、蛇口を閉めないようなものです。

治療体制の強化と同時に、病気を生み出しにくい社会環境をつくらなければ、患者は増え続け、医療需要も膨張し続けます。

  

“Health First”は「医療予算最優先」ではない
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ここでいう“Health First”、すなわち「健康最優先」は、保健医療省の予算を無制限に増やすという意味ではありません。

むしろ、あらゆる政策について、

**その政策は、人々を健康にするのか。  
健康格差を縮小するのか。  
将来の疾病を減らすのか。**

という観点から評価することを意味します。

例えば、住宅の断熱性能を高めれば、冬季の寒冷曝露や呼吸器・循環器疾患のリスクを減らせる可能性があります。

歩行、自転車、公共交通を利用しやすい都市を整備すれば、身体活動が増えるだけでなく、大気汚染や温室効果ガスの削減にもつながります。

安定した所得や質の高い雇用は、精神的健康や生活習慣、医療へのアクセスに影響します。子どもの貧困、教育、食環境への介入は、何十年後の健康状態を左右します。

McKeeとHainesは関連するBMJ論説で、経済成長政策を、健康と環境を同時に改善する「健康を生み出すミッション」へ発展させるべきだと提案しています。([BMJ](https://www.bmj.com/content/394/bmj-2026-100349?utm_source=chatgpt.com))

健康政策とは、病院を建てることだけではありません。

人々が病気になりにくく、病気や障害があっても社会に参加しやすい生活条件をつくることです。

  

経済効果だけで健康を語る危うさ
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一方で、健康を「経済資産」として扱う議論には注意も必要です。

健康政策を財務当局や産業政策と接続するうえで、経済効果を示すことは有効です。しかし、健康の価値を労働生産性だけで説明すると、就労できない人、高齢者、障害のある人、重い病気を抱える人の価値が低く評価されかねません。

健康は、経済成長の手段である前に、それ自体が人間の生活と尊厳を支える価値です。

また、すべての病気を予防できるわけではありません。健康改善だけで財政や経済の問題がすべて解決するわけでもありません。

したがって、健康への投資を正当化する根拠は、経済産出額や税収だけでなく、生活の質、社会参加、公平性、本人が望む生活を続けられることまで含めて評価する必要があります。

  

日本でも「医療政策」から「健康をつくる政策」へ
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この議論は、日本にとっても他人事ではありません。

日本の健康政策では、健診受診率、検査件数、早期発見者数、受診勧奨数といった、医療サービスに近い指標が重視されがちです。

しかし、検査を増やし、病気を早く発見するだけでは、人口全体の健康寿命や生活の質が改善するとは限りません。早期発見された人が適切な治療を受けられたのか、重症化や死亡が減ったのか、健康格差が縮小したのかまで確認する必要があります。

さらに、健康を左右するのは医療だけではありません。

地方の公共交通が失われれば、高齢者は通院だけでなく、買い物や社会参加も困難になります。住宅の断熱性能が低ければ、冬季の健康リスクが高まります。不安定な雇用や低所得、孤立、介護負担、子どもの貧困も、長期的な健康に影響します。

したがって、自治体や政府が目指すべきなのは、単に医療サービスを増やすことではなく、

*   健康に暮らせる年数が延びたか
    
*   所得や地域による健康格差が縮小したか
    
*   病気があっても働き、学び、地域で生活できるか
    
*   医療や介護に至る前の生活条件が改善したか
    

というアウトカムです。

公共交通、住宅、福祉、教育、雇用、まちづくり、環境政策を別々の縦割り事業として扱うのではなく、「地域住民の健康を生み出せたか」という共通目標で束ねる必要があります。

  

健康な社会は、医療の外側でつくられる
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The BMJの論説が問いかけているのは、NHSの改革方法だけではありません。

私たちは、健康をどのようなものとして捉えているのか、という根本的な問いです。

健康を失った後に発生する医療費だけを問題にするのか。それとも、健康を人々の生活、地域社会、経済、財政を支える基盤として、失われる前から守るのか。

医療を充実させることは重要です。しかし、医療を充実させるだけでは、健康な社会はつくれません。

必要なのは、経済成長の成果を健康政策に分配するという発想から、**健康を生み出すこと自体を、経済と社会の中心的な目標に置くこと**への転換です。

健康は、費用ではありません。

それは、人々が生き、働き、学び、支え合い、地域で暮らし続けるための、社会にとって最も基本的な資産なのです。

  

参考文献
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1.  Abbasi K. Why Burnham must take “health first” mainstream. _BMJ_. 2026;394:e100362. doi:10.1136/bmj-2026-100362. ([BMJ](https://www.bmj.com/content/394/bmj-2026-100362?utm_source=chatgpt.com))
    
    The BMJ編集長Kamran AbbasiによるEditor’s Choice（編集長論説）「バーンハムは“健康最優先”を主流政策にしなければならない」。2026年7月23日に掲載。2026年7月20日に英国首相となったAndy Burnhamに対し、健康を保健医療省だけの課題ではなく、政府全体の基本政策に据えるよう求めています。
    
2.  Finch D. _Health as an economic asset: unlocking the economic potential of the nation’s health_. The Health Foundation; 2026. ([ヘルス.org.uk](http://ヘルス.org.uk))
    
3.  Wise J. Restoring UK health to 2014 levels would unlock £72bn, analysis suggests. _BMJ_. 2026;394:e100335. doi:10.1136/bmj-2026-100335. ([BMJ](https://www.bmj.com/content/394/bmj-2026-100335?utm_source=chatgpt.com))
    
4.  McKee M, Haines A. Andy Burnham’s goal of good growth could be a health-creating mission that supports environmental action. _BMJ_. 2026;394:e100349. doi:10.1136/bmj-2026-100349. ([BMJ](https://www.bmj.com/content/394/bmj-2026-100349?utm_source=chatgpt.com))
    
5.  Finch D, Cairncross L, Bibby J. _The nation’s health as an asset_. The Health Foundation. ([ヘルス.org.uk](http://ヘルス.org.uk))
    
6.  The Health Foundation. _Creating healthy lives: a whole-government approach to improving health_. ([Health Reader](https://reader.health.org.uk/creating-healthy-lives/executive-summary))
    

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※この記事はAI共創型コンテンツです。

**■ AI**  
コンテンツ生成：ChatGPT 5.6

**■ bycomet**  
医師。2007年からブログ／Xで発信を続けています。2015年に「地域医療ジャーナル」を創刊し、2018年にオンラインコミュニティ「地域医療編集室」を設立。2022年からプラットフォーム「小さな医療」を運営し、エビデンスに基づく地域医療の実践と言葉を届けています。

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*Originally published on [Small Medicine](https://paragraph.com/@smaller/health-first)*
