患者は自身のプライマリ・ケア医(PCP)との継続性を重視する傾向があり、特定の状況では迅速な診療よりもPCPに会うために待つことを選ぶことがあることがわかりました。
【音声解説】
Convenience or Continuity: When Are Patients Willing to Wait to See Their Own Doctor?
2021年にミシガン州の6つの家庭医療クリニックを受診した18歳以上の患者から抽出された4,795人のうち、2022年にアンケートに回答した2,319人(加重後サンプル数)
プライマリ・ケア医(PCP)との診察を待つ選択(最大3〜4週間)
PCP以外の他のチーム医療スタッフ(例:ナース・プラクティショナー、PA等)による早期診察(24〜48時間以内)
具体的には、以下のような職種が挙げられています:
看護師(nurses)
ナース・プラクティショナー(nurse practitioners, NPs)
医師助手(physician assistants, PAs)
ソーシャルワーカー(social workers)
行動健康の専門家(behavioral health specialists)
薬剤師(pharmacists)
医療アシスタント(medical assistants)など
この研究では、「自分のPCP」=主治医として登録されている家庭医(physician)と定義されており、それ以外のチームメンバー(たとえ医師であっても主治医でなければ)との診察は「他のスタッフ」に分類されている可能性はありますが、主に対象としているのは非医師の専門職です。
ただし、明確に「他の医師」との診察が含まれているかについては本文では直接言及されておらず、「他の医療提供者」というカテゴリーに含まれるかどうかは文脈により判断する必要があります。
PCPとの継続性と診療待機時間のどちらを患者が重視するかに関する選好(各診察目的ごとに測定)
横断的調査研究(加重ロジスティック回帰分析による多変量解析を実施)
年1回の健康診断において、52.6%の患者が「自分のPCPのみを希望」と回答。
慢性疾患のフォローアップ:54.6%、精神疾患のフォローアップ:56.8%がPCP希望。
一方で、緊急の問題ではわずか7.2%、新たな症状では17.1%のみがPCPを希望。
「デリケートな診察が必要な問題」については68.2%が3〜4週間待ってもPCPに会うことを希望。
「新たな精神的問題」では58.9%、「慢性疾患の新たな問題」では61.1%が待機を選択。
年1回の健康診断でPCP希望の傾向は、年齢が高い(OR=1.03, 95%CI: 1.01–1.04)および女性(OR=1.68, 95%CI: 1.29–2.20)で有意。
慢性疾患のフォローアップでは、健康状態が悪いほどPCPを希望する傾向(WMIスコアが高い場合、OR=1.15, 95%CI: 1.03–1.30)。
Shumer G, Chen D, Holkeboer J, et al. Convenience or Continuity: When Are Patients Willing to Wait to See Their Own Doctor? Ann Fam Med. 2025;23(2):151-157. doi:10.1370/afm.240299
プライマリ・ケアの提供方法は過去20年間で大きく変化しており、チームベースの医療や緊急治療センターの増加が進んでいる。
チームベース医療は、患者アクセスの向上を目的とし、医師、看護師、ソーシャルワーカー、行動健康の専門家、薬剤師など、さまざまな医療専門家が協力して患者ケアを行う。
しかし、患者がチームベースのケアに対してどう感じているか、特に継続的なケアと迅速なアクセスのトレードオフに関する知見は十分ではない。
研究では、患者がどのような条件で自分のPCP(プライマリ・ケア医)を選び、またどのような場合に他の医療スタッフを選ぶか、を調査する。
年齢
性別
民族
教育レベル
健康状態(WMIスコア)
保険の種類
クリニックの種類(residentまたはnonresident)
患者の心理的要因や感情(例えば、医師との信頼関係や安心感)
患者の過去の医療経験(特に他の医療提供者との関係)
クリニックの診療体制の細かい違い(診療の質や効率)
サンプルがミシガン州の6つの家庭医療クリニックに限られており、外部の小規模なクリニックや他の地域での一般化には限界がある。
反応率が52.5%であり、特に低年齢層や低所得者層が少ない可能性があり、バイアスが存在する。
質問が一部主観的で、PCPのアクセスやポータルの使用に関する既存の評価ツールが利用されていない。
インターネットを使用できる患者に限定した調査であるため、テクノロジーアクセスに制限のある高齢者や低所得層の意見が反映されていない。
患者はPCPとの継続的な関係を重視しており、特に健康診断や慢性疾患のフォローアップの際にはPCPを希望する傾向が強い。
ただし、急病や新しい症状の際には、迅速な対応を重視する患者が多い。
研究の結果は、迅速な医療アクセスが重要な状況とPCPとの継続的な関係が求められる状況があることを示しており、医療の提供方法におけるバランスが重要である。
直接スケジュール機能を提供することで、患者がPCPとの継続的な関係を維持しやすく、満足度向上に繋がる可能性がある。
しかし、急患対応などの迅速なケアが必要な場合に、PCPとの診察を優先する選好が明確ではない点も課題である。
ハルシネーションの確率: 低い(5%未満)
最もハルシネーションの高い部分: 特に異常は見受けられませんが、研究に関連する推定や予測に関して明確なデータが示されていない部分があるため、実際の状況に完全に一致するかどうかは確認が必要です。
Dr. bycomet