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#2 RetroPGFの紹介: Optimismエコシステムにおける公共財の未来

前回のブログ記事では、公共財に焦点を当てました。ブロックチェーンのエコシステムでは、多くのプロジェクトが公共財として価値を提供していながらも、持続可能性に課題を抱えています。これを解決するには、公共財を維持管理する主体に必要なものを供給する仕組みである「税」の仕組みが必要です。前回のブログ記事はこちらでご覧いただけます。

https://mirror.xyz/hashigo%F0%9F%94%B4.eth/J_wJbzIqqd_6y7gyO5I2wEfquE0ZMfkA3zQfbTAusfU

今回のブログ記事では、RetroPGFについて踏み込んで取り上げます。

RetroPGFとは

RetroPGFは、新しいデジタル民主主義のガバナンスモデルであるOptimism Collectiveの考えを具体化したプログラムです。健全な公共財と、価値あるエコシステムを創造するために執り行われています。

価値の流れ

RetroPGFでは、Optimismのエコシステムに対し、impactを残した公共財プロジェクトに対し遡及的に評価を行い、資金提供を行います。このコンセプトの原理は単純であり、将来どんなプロジェクトがimpactを発揮するかよりも、どんなプロジェクトがimpactを発揮したかについて合意するほうが簡単であるという考えに基づいています。将来について予想し、ガバナンスによって各プロジェクトの評価について合意に達するのは困難であることは予想されるので、とても明快な理由ですね。impactを発揮したプロジェクトに資金を提供するということは、ちょうどスタートアップに投資した人が結果的に報われることと似ています。詳細については、こちらの公式ブログをご覧ください。

https://candied-crane-c03.notion.site/41dde5f77e0949079b3717d87c04ef2a

ユーザーがOP Mainnetで取引を行うと、シーケンサでは利益が発生します。計算式を簡単に表現すると、

(L2で受け取ったETH)-(L1に支払うETH)

です。詳しくは、こちらのtwitter投稿が参考になります。

https://twitter.com/Delphi_Digital/status/1680990872312184832

この利益はRetroPGFを通じて公共財の資金に充てられます。これにより公共財が強化され、さらなるエコシステムへの拡大へと繋がり、またシーケンサの利益が増大します。この一連の流れは、以下の図でわかりやすく表現できます。

The RetroPGF Flywheel.
The RetroPGF Flywheel.

では、誰がimpactを評価するのでしょうか。これは現在のところCitizens’ Houseが担い、バッジホルダーが投票します。少数の人による投票を繰り返すことで、将来、Optimismに関わる全ての人が投票できる体制を試行錯誤で構築しています。

Ethereumエコシステムとの比較

ここまで、RetroPGFについて説明してきました。しかし、これは実際に優れているのでしょうか。また、なぜこのようなプログラムが用意されているのでしょうか。これは、他のエコシステムと比較するとわかりやすいです。例として、Ethereumを取り上げてみましょう。

Ethereumでは、ノードを運営している人が報酬を受け取ることができます。受け取る報酬は、主に次の3種類に分けられます。

  • ブロックを生成した

  • Gasperに基づいてValidatorとして振る舞った

  • トランザクションを実行した(Execution Layer)

つまり、基本的にはノードを運営している人が報酬を受け取ることができます。また、EIP-1559によってBaseFeeが高騰している場合には、ETHの供給量は減少していくので、ETHホルダーも間接的に報酬を受け取っていると考えることもできるでしょう。ここでは、ETHホルダーの存在は考えないものとします。

このシステムにおいて、無視出来ない存在があります。それは、Liquid Staking Protocolの存在です。Ethereumでvalidatorになるには32ETHをstakeしなければなりません。しかし、stakeしたETHをEthereumエコシステムで使用する仕組みがネイティブに備わっていないため、アプリケーションによってこの問題を解決しています。そのアプリケーションがLiquid Staking Protocolです。なぜそのようなアプリケーションが存在するのかというと、ETHの運用において資金効率を高めたいという需要があるからでした。その他にも、ノードを運用することは一般人にとって難しいためStakingサービスを提供しているところもあります。

このサービスは魅力的なもので、この円グラフのようにstakingされたETHの中で多くの割合を占めていることがわかります。

obol_labs, Staking Depositors (Dune dashboard).
obol_labs, Staking Depositors (Dune dashboard).

これにより、ノードを運用することなく、staking報酬を受け取ることができます。staking報酬の一部は手数料としてstakingプロバイダが受け取ります。これは、Ethereumエコシステムを支える様々なプロジェクトがある中、ごく限られた領域へ報酬が向かうことを意味します。一方、ProtocolGuildはノードオペレーター向けにstaking報酬をEthereumのコアコントリビューターに向かわせるためのツールを提供していますが、これは寄付であり、善意に頼るものです。

プロトコル収益をガバナンスを通じて再分配する仕組みは必然です。前回のブログで紹介したように、社会的な取り組みを含めればエコシステムを支える公共財プロジェクトは数多く存在します。しかしながら、そのような取り組みを評価するためには、機械では困難であり、人間による合意形成が必要です。言い換えれば、人間によるオラクルが機能するからこそ、幅広い公共財プロジェクトを支援できるとも言えるでしょう。Optimismを使う人から徴税し、主観的に公共財プロジェクトに分配するこのプログラムは、新しいデジタル民主主義を築くための大変興味深い試みです。

さいごに

RetroPGFやOptimism Collectiveの考えを通して、新しいガバナンスの形成や公共財の管理、その持続可能性について考えることができました。また、Ethereumとの比較を行うことで、Optimismのこの実験が自身のエコシステムにどう役立つのかについて考えました。現代のデジタルエコシステムにおけるこれらの動きは、私たちが共有資源をどのように扱うべきか、そしてどのようにそれを最大化するかについての深い洞察をもたらします。

RPGF3の紹介

現在、RPGF3の申請期間中です。締切は10月23日ですので、Optimismにimpactを残した個人や団体は奮ってご応募ください。

https://candied-crane-c03.notion.site/RetroPGF-3-507889a54dd54ca19bc427de5af519fa

応募フォームに記入する際の注意点はこのtwitterスレッドにまとめました。

https://twitter.com/hash1go_/status/1706106414476005605

参考文献

※Optimismの公式リソースに関しては、著者の記載を省略しています。