ことの発端は昨年11月に那須で開催された起業家・投資家のカンファレンスIVS。
https://www.ivs.events/ivs2021nasu
Web3やらメタバースやらDAO、DeFi、NFTといった言葉の解釈を聞きながら、次に来る未来を予測していく時間なんだけど、その中にウィスキーを商品として出展している企業ブースがあり、思わず立ち止まって話を聞いてしまった。その会社の名前はUniCaskさん。現時点で30年もののウィスキーの樽を持っていて、その樽をあと20年寝かせて50年ものにするんだけど、その20年後の権利をNFTにして販売している。NFTは今まで複製可能だったデジタルコンテンツを唯一無二のものとして証明できる技術、って理解していたけど、リアルのものの価値をつなぐツールとして存在できるなんて素敵だな、と思い、社長のクリスさんと連絡先を交換し、初めてNFTを購入することに。
時の流れがゆったりとした写真業界で生きていたので、新規事業系もあまりイノベーター的に手を出さずに、アーリーアダプター後期くらいで掛け算する私の思考性だったので、仮想通貨も所有していなかったから、まずはそこから。クリスさんからは、「イーサリアムを購入して、そのあとMetamaskをインストールしておいてください」と直接指導を受け、ググりながらコインチェックで口座を開設し(これは証券口座を開設するくらいの手間)、MetamaskをiPhoneにインストール。これで買える!と意気揚々と大手町のUniCaskさんのオフィスに伺ったらMetamaskはPC側にインストールしてそこにコインチェックにあるイーサリアムを移動させます、とのこと。こういうのをデジタル介護と言うらしいが、手とり足取り教えていただき無事購入!ウォレットのところの仕組みの理解が少し難しいけど、なんだか1999年にNTTに新卒で入社して、ルーターのファームウェアのアップデートをするのにコマンドプロンプトを開いてipconfigとかpingとかたたいたことがフラッシュバックした。当時も世の中はインターネット!って口を開けばみんな言っていて、インフラを支えていくところの仕組みがややこしいなぁ〜と思ったものだけど、ブロックチェーン技術が同じような時代の入り口に立ってることを実感。(だいたいどんな技術も来る来ると言われながら10年とかあっという間に経って、様々な条件が整わないと社会にイッキに実装されていかないんだけど、これそろそろ本筋かもな、という感覚。ハイプ・サイクルでいう啓発期。)
ちなみになんでUniCask立ち上げたんですか?という問いに対して、クリスさんからは「お酒の民主化をしたいと思ったんです。ワインもウィスキーも中間業者のオークションが儲かる仕組みで、いくら値段が上がっても作り手には戻らないし、買い手も高く購入させられる業態なんです。お酒をみんなで飲んでるときが好きなので、そこを変革したいな、と。」確かにNFTを活用するとリセールの2次流通においてもメーカーにお金がまわる仕組みができる。それっていろんなモノに活用できて、いわゆる循環型経済(サーキュラー・エコノミー)実現できるかもしれない!SGDsといっても、昔のCSRの様に本音と建前的な日本的社会を変革できるチャンスがブロックチェーンにはあるんだ、と脳に衝撃が走った。
そんなこんなしてるうちにFacebookのフィードの誰かの投稿で2004年に起きた中越地震の際に全村避難でその名が全国に知れた山古志村が現在は村民800名の限界集落になっている中、村の特徴である錦鯉を活用したデジタルアートをNFT化して山古志デジタル村民を募集しているということを知り、すぐに購入。Discordを活用して様々な企画を募集し、総選挙を行い、選ばれたものを実行していく。デジタル村民とリアル村民が交流するような企画とか、VR上に山古志村を作る企画とか。普通にみなさん凄いし、そもそも総選挙も1票(1アート作品)を分割し、65%はアイデア①を、20%はアイデア③に、15%をアイデア②に、といった投票の仕方も、本来の選挙もそうすべきでは?というような内容。NFTの本質はコミュニティであり、これからの時代は自律分散的に仕事を行い、そのコミュニティへの貢献度に応じて評価や報酬が払われる、という時代になってくることを実感する。
https://www.businessinsider.jp/post-251703
限界集落×NFTとか発想が面白すぎる!と思いながら、同じ様になにかできることはないか?と模索することに。そういえば、フォトクリエイト創業した時も、『○○屋×IT』という方程式で『本屋×IT』はAmazon、『不動産屋×IT』はホームズ(ライフル)、『洋服屋×IT』はZOZOという中で『写真屋×IT』っていう領域空いてるなぁ〜と思ったもの。今までの話を中高同級生で顧問税理士をしてくれている友人とランチしていたら、「そしたら日本酒の酒蔵を買ったらどうかな?」との一言。『○○屋×NFT』という図式の中で、『酒屋×NFT』かぁ〜、しかも酒蔵って毎年3件くらい廃業しているっていう業界、面白そうじゃん!なんか昭和50年ころをピークにマーケット規模が3割まで落ち込んでいて、美味しい日本酒って出てきてるけど、コンビニで手に取れる日本酒って正直不味いやつばっかで若者離れも進んでいて限界集落的な業界だし、それやってみるわ、というのが物語のはじまり。そのランチをしながら、すぐにお酒業界といえば昭島市にある長塚酒店の長塚さんに聞かないと!とメッセンジャーで連絡すると、「現時点では一番IT化が進んで居る酒蔵の一社としては『W』の渡辺酒造店ではないでしょうか?過去10年程で売上を4倍位に増やし、現在岐阜県No,1で、かなりIT化をすすめ、web展示会を開催したり、5万円のお酒をフォロワーに100本プレゼント企画し、一晩で10万人フォロワーを集めたりしました。こちらは社長さん知って居るので、ご紹介は出来ると思います。」と返信をいただいた!
早速飛騨の『蓬莱』『W』を作っている渡辺酒造店の社長・専務とZoom面談することに。社長からは「写真業という衰退産業から日本酒っていう衰退産業へいらっしゃるのですか?」と最高な一言をいただきながら、安房峠を越えないと行けないので、雪解けしたくらいの4月中旬に蔵人インターンの約束を取り付ける。
4月17日(日)AM9:00予定通り八王子の自宅を出発。Google先生によると276km 4時間20分の旅程。途中諏訪SAで休憩を取りながら、14時過ぎに飛騨市に到着。そういえばZoomでお会いした時に、ちょうど祭りの時期なのでバタバタしています、とおっしゃっていたな、と思い、祭り好きとしてはどんな祭りなのか知っておきたいな、ということで、まずは飛騨古川祭り会館へ。30分間の古川祭りを切り撮った4K映像から、屋台(八王子でいう山車)をひく『静』と起し太鼓を中心とした『動』の祭りが2日間にわたって繰り広げられる様子から、これはあまりにも多岐にわたる役割があり、どれも前々からの用意が必要で街の人全員参加じゃないとまわらないな!とのイメージ。せっかくなので祭りの中心となる気多若宮神社へお詣り。鳥居から街につながっていく道を見ながら、お祭りでここをくぐる時にどんな思いで氏子の方々は通過していったんだろうと思いを馳せた。



17時に渡辺酒造店にて杜氏と待ち合わせをしていたので、5分前に事務所へ。ちょうど17時が終礼時間とのことで、お会いしてすぐにお世話になる皆様(8名程度)にご挨拶をすることに。心の準備が〜、と思いつつ「お祭りの忙しい時期にすみません。先程気多若宮神社にお詣りしてきました。中高ラグビーをしていたので体力には自信があります!」と手短にご挨拶。夜は社長と専務と杜氏と4人で地元の八ッ三館という料亭旅館にて会食。さすが酒蔵!目の前に大量に並ぶグラスでハイペースに日本酒をあおり、3次会まで連れて行っていただいて、フラフラに。

4月18日(月)5時30分と45分に目覚ましをセットし、気がつくと2度目のアラームで起床。完全に酒が残ってるなぁ〜とフラフラしながら5時55分に出社。宿泊は寮にてみなさんと一緒に寝泊まりすることになっているので、部屋から出社までは1分しかかからない。早速6時から室(むろ)に!
一日の流れは 6:00 作業開始 7:30‐8:00 朝食 8:00-12:00 仕込み作業(途中休憩有り) 12:00‐13:30 昼食・休憩 13:30‐17:00 作業(途中休憩有り) 17:00 終礼 17:45 夕食
夕食後は毎日晩酌23:30就寝
この夕食後の晩酌が最高!北場杜氏からはお酒造りのレクチャーをしていただいたり真面目な話もしたんだけど、岩手の南部杜氏組合から派遣されて来ていたHさん(63歳)のキャラ立ちが半端ない。口癖は「オレは無口な東北人。」「バッキャロー!」「杜氏のはマエカタのクラウンだろ、オレのはイマカタのクラウン。」「オレはプロゴルファーだから年間100日ラウンドまわる。」「カアちゃんもプロゴルファー。」
そもそも無口というブランディングから入るって凄い!!!そして、さんざん話をしたあとに、「ところでカアちゃんに携帯2つ持ってることバレて口座止められてしまった。所持金120円しかないから杜氏月末に2万円貸してくれねぇか?上高地に旅行に行くんだ。」いやいや、携帯2つ持って何してんの?って話だし、なんでバレたの?って聞いたら家族割で契約してたらバレた!?!?もう爆笑!
そして翌日のランチに、「オレ所持金115円しかないけど美味しい焼き鳥屋あるから一緒に行こう。」と誘ってくれて、5円どこ行った?っていう話と、誘ってくれてるけど、払うのは私だよね、っていう。
酔っ払って帰ってきたら、「あれ?携帯がない!」って騒ぎはじめて、「じゃぁならすから番号教えて」って鳴らしたら自分の部屋に置いてきてただけ、という。こんなやり取りがあった翌日朝5時半に私の携帯が鳴って、なんだろう?って出てみたら「おめ誰さ〜?」って嬉しそうなHさんのモーニングコール。いつもこの手を使ってるのねw
このHさん飲みすぎると朝遅刻するし、ふと気づくとタバコ休憩しちゃってる。カシラからは「若いのに示しがつかないからちゃんとしてくれ!」って怒られてて、そんな姿見てたら、なんともいえない気持ちになって。ちょうど経営学を学びなおしている中で、テイラーの科学的管理法とメイヨーの人間関係論の経営学の2大源流があって、最近ではそれがポーターの戦略論とミンツバーグの経営論的な、昔でいうと論語と算盤、中国古典でいうと法治と徳治、それらが時代に応じてヘーゲルの弁証法のように螺旋状に形成されて現代につながっている。262の法則(“どのような組織・集団も、人材の構成比率は、優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割となる”という理論)から考えると下位2割に映っちゃうんだろうなぁ〜という寂しさがこみ上げてきて、人間関係論から言うと、Hさんの貢献度って組織において重要な役割を果たしてるんだけど、言語化できないものか?と。
昔ビジョナリー・カンパニーを読んで適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから下ろすってあったけど、ある時人事部長からとあるメンバーをバスから下ろしますか?と問われて、「彼女には悪意はなく、会社に対する愛はあり、写真業に対する愛がある。でも表現の仕方が難しいだけ。周りからは下位5%に見えていて、ジャック・ウェルチはそこを切り取ったけど、マネジメントを学ぶと結局下位5%がまた出てくるだけという堂々巡り。その中で下位5%を必死に守ってくれてるって、これある意味凄いことじゃないか?」と話をしたことを思い出した。
そんなこと考えてたら、現代社会におけるプーチンはロシアという国家組織のトップオブトップだけど、世界市民(未来から振り返った歴史)という観点から見ると完全に下位5%に入ってる。いやむしろ最下位。正義の反対は誰かの正義とは言うが、悪いものは悪い。それでもプーチンを創り上げたのもやはり社会システムそのもの。人を資源ととらえた統制型組織の典型的事例といえるのではないだろうか?なーんてことに考えを派生させながら、これからのマネジメントはKPIとか数値管理については結果として当たり前のことだし分析するのは普通のことであって、それより前に人間関係を車でいうハンドルの遊びのように極端に遊びがありすぎちゃ駄目だし、かといって過度に反応すると運転できない。その遊びを状況に応じてクリエイティブにコントロールできるような人が必要なんだろうなぁ〜と。

ミンツバーグのエンゲージマネジメントを参考までに
1.リーダーと彼が支援するメンバーは、ともに重要である。 2.いい組織は、相互作用ネットワークである。いいリーダーは、その座に安穏と居座ることなく、献身的にメンバーを支援するために働く。 3.戦略は相互ネットワークから生まれる。現実におきた小さな問題の解決が、次第に大きな戦略に育ってゆく。 4.マネージメントとは、人と自然につながり、その場の文脈を理解し、適切に判断することである。 5.リーダーシップとは、他者の尊敬から、自然に生まれる深い信頼のことである。
やっぱり言語化は難しい。。。ダライ・ラマは「20世紀は物質の発明の時代でした。21世紀は対話の発明の世紀にしなくてはなりません」とおっしゃっていたけど、出会った方々といい対話をしていきたいものです。
とりとめなくなるのでざっくりの現場の様子を写真にて。



4月23日(土)朝イチの仕事までみっちりお世話になりました! 体力に自信があるって言ってましたが、正直あちこち筋肉痛ですwそして何も知らない私をあたたかく現場に迎え入れてくれたみなさんに、深く感謝しています。毎日毎日お米と向き合ってものづくり酒造りに励んでるみなさんを深くリスペクト。これからも美味しい日本酒を届けてください。

帰りの車中にて、ふとやり残したことを思い出すという。蔵にはサーマルタンクに来てくれた人みんなから「美味しいお酒をありがとう!」とか書いてもらう文化があり、めっちゃいい習慣!と思ってたんだけど完全に書き忘れてきてしまった。。。私も結婚式のスピーチで時々使わせてもらってる、『水は答えを知っている』を実践してるー!と思ってたのに。ということで、近々今回の体験の感謝を込めて飛騨へバイクでツーリングすることにします。
https://www.watanabeshuzouten.com/blog/?p=1026
ちなみに日本酒×NFTは時代が来るまでおあずけ。

