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【コインレポート】Abracadabra / SPELL

サマリ

SPELLは、仮想通貨にレバレッジを提供するAbracadabraのガバナンストークンです。Abracadabraは担保を取ってレバレッジを提供しているため、焦げ付きがでることはなく、継続して拡大をしていくと考えられます。また、経済圏の拡張を継続している点にも好感が持てます。

データ

  • コイン名: SPELL

  • 開始日:

  • 対応チェーン: ETHEREUM, BSC, FANTOM, AVALANCHE, ARBITRUM

  • MPT (割安度): 0.21

  • 時価総額: $978Mil (25位)

  • TVL: $4,680Mil (14位)

  • サイト: https://abracadabra.money/

※ MPTについて:”Market capitalization Per Total value locked” の略語です。仮想通貨の中でも特にガバナンストークンは、そのトークンがTVLをコントロールする力があると見なすことができます。例えば、TVLが$10,000の仮想通貨においてガバナンストークンが10枚だけ発行されていれば、ガバナンストークン1枚当たり$1,000の価値があると考えられます。一方、このガバナンストークンの価格が$100であった場合、時価総額は$1,000 (= $100 x 10枚) でしかありません。このときのMPTは0.1 (= $1,000 / $10,000) であり、割安であると言えます。MPTの一例として、2021年11月26日現在、CRV=0.097、MKR=0.150、CVX=0.061です。この考え方は株式のPBRに準ずるものですが、MPTという略語は本レポート独自のものであり、一般的な略ではありません。

概略 (公式ドキュメントより)

Abracadabra.moneyは、有利子トークン(ibTKN)を担保として、従来のステーブルコインと同じように使用できる米ドルペッグ・ステーブルコイン(Magic Internet Money - MIM)を借りるための貸付プラットフォームです。

更新履歴

  • 2021-11-27: 初版

はじめに

Abracadabraの本質はレバレッジです。Abracadabraによって定められた仮想通貨を担保にして、その時点でのドル換算価値の限界まで借り入れを行うことができます。借り入れを行う際、担保の仮想通貨ではなく、Abracadabra独自のステーブルコインであるMIMが利用される点が独特です。

継続して、より広く利用される要素は?

借り入れのシンプルさ

Venus等の借り入れを行っているサービスはいくつかありますが、借り入れとして受け取れるのはステーブルコイン「のみ」というシンプルさが利点になっていると考えられます。他サービスでも同等のことはできるはずなのですが、Abracadabraはシンプルゆえに応用が利く作りになっています。

他DeFiサービスとの連携の上手さ

Abracadabraから発行されるステーブルコインMIMについては、流動性を保つべく、多くのDEXサイトと連携をしています。これで例えば、①仮想通貨Aを担保にステーブルコインMIMを発行、②MIMを他DEXの流動性プールに加えることで、DEXトークンBが発行される、③このDEXトークンBを担保にMIMを再度発行、ということができます。ここでのミソは、ステップ②でDEXから利子を受け取りつつ、仮想通貨AとDEXトークンBにレバレッジをかけられるという点です。

過剰担保のリスク調整の柔軟さ

他DeFiサイトでは、借り入れ時点での担保仮想通貨ドル建て額の60%程度の借用しかできませんが、Abracadabraでは100%までの借り入れを行うことができます(ただし、これを行うとすぐに清算されてしまいます)。

競合の少なさ

DeFi界隈でDEXは乱立する傾向がありますが、「独自ステーブルコインを発行する貸付DeFi」というものは多くありません。これは、独自ステーブルコインの流動性を確保することが大変である(コードのコピーだけでは真似できない)という要因があるのだと考えられます。

上記利点に対する脅威

実際のところ借入れのシンプルさというのは、USDC等のステーブルコインだけを貸し出せば良いというだけなので、大きな利点ではありません。一方、①独自のステーブルコインを発行しているがゆえに他DEXと独自の連携・エコシステムを作り出しており、②継続的なDEX連携に余念がなく、③多ブロックチェーンへの展開にも積極的であることから、Abracadabraに対抗するのは簡単ではないと考えられます。

独自のステーブルコインであるがゆえに、貸出し利率を低く抑えているのも特徴です。

成長性

対応コイン・DEX・ブロックチェーンの継続的な拡張

前述の通り、Abracadabraは対応コイン・DEX・ブロックチェーンを継続的に拡大しています。このことより、DeFiの成長と共にAbracadabraの規模も拡大していくと考えられます。

なお、Googleにおける ”abracadabra money” の検索トレンドは下記の通りです。トレンドが拡大していることが、確認できます。

Googleでの検索トレンド
Googleでの検索トレンド

コミュニティ

開発者

Abracadabra立ち上げ時の、snapshotの主要メンバーは下記の通りです。

  • 0xmerlin.eth / $899,183 (内SPEL=$838,337) / Abracadabraの利用は$100程度のみ

  • 0x7897531b47c6db37570b4d2441a4484dd5f97133 / $10,641,547 (SPEL=$650,642) / Abracadabraの利用は$3000程度

  • georgiyxo.eth / $330,075 (内SPEL=$$267,121) / Abracadabraの利用は$1000程度のみ

三人とも、Abracadabraに入れている金額があまり大きくありません。普段は別ウォレットを使っているだけかとは思いますが、もし本当に自分達のサービスを利用していないとすると、少し問題です。

ガバナンス・運用

TwitterやMediumではあまり動きが見られないのですが、まだ若いサービスということもあり、Githubの動きが活発のように見えます(0xMarlen0xCalibuar)。

チャネル

Discord、Medium、Twitterがあります。Githubも、ちゃんと動いています。

利用した上での所感・おすすめ度

少しとっつきにくいサービスではあるのですが、シンプルかつ柔軟に、仮想通貨にレバレッジをかけられる手段かと思います。また経済圏の成長も著しいので、DeFiの成長と共に拡大が期待できそうです。

ただ個人的に、レバレッジはあまり好きではありません。Abracadabraの少しわかりにくい部分と仮想通貨のボラティリティとが合わさると、ちょっとした金融危機が起きるのでは、と危惧してしまいます。まだ若いサービスなので、今後暴落が起きたときに、清算を上手くこなせるかどうかに真価が問われてくるのだと思います。

私自身は、①しばらく触る予定のないガチホコインだけを預ける、②清算レートを25%だけにして交換したMIMを他のことに使う、という運用をしています。

また「国際金融のトリレンマ」の観点から、担保のないステーブルコインは信用していないのですが、そういった意味でMIMはある程度成功するのではないかと考えています。

想定されるリスク

貸し倒れリスク

Abracadabraはレバレッジのサービスなので、ボラティリティの高い仮想通貨の暴落時には、大規模な清算が走ると考えられます。MIMという層が複雑に絡まった経済圏を構成しているため、そういった清算が滞りなく行われるかどうかということが、リスクとして残っています。

また規模の拡大と共に、少し質の低い仮想通貨も担保として受け入れ始めています。これがAbracadabraの運用にどう影響してくるのかも、見極めていく必要があります。

その他のリスク

他のコインと同様に、下記の危険性は常に付きまといます。

  • 徐々に、あるいは一気に、流動性が枯渇する

  • 内部の人間による、ラグプル等の不正行為

  • 外部の人間による、バグ利用・ハッキングによる不測の事態

まとめ

Abracadabraは担保を取ってレバレッジを提供しているため、焦げ付きがでることはなく、継続して拡大をしていくと考えられます。また、経済圏の拡張を継続している点にも好感が持てます。

なお本レポートは私自身の備忘を目的として作成したもので、投資・投機の助言をするものではありません。DYOR (Do Your Own Research / あなた自身での調査) の元、自己責任で投資・投機は行ってください。