EVE ONLINEというゲームはブロックチェーンゲームの完成形と言う人もいる、というのを中の人が認識しているぐらいに名前が挙げられているもので、宇宙系BCGの殆どが影響されていると名言してもいます
Starkかなんかで作ってるやつとかUI見た瞬間にEVEやんとなりましたね
そんな事もあってか界隈でもたまに名前が出ますがろくに知ってる人がほとんどおらず極めて表面的な説明しかされないので、元ガチ勢として書き殴ってみることにしました
全体像がわかりにくいかもしれないが、初見に全体像を語るのはそもそも難しすぎるので諦めたのと、自分のテンションが最後まで持つように読みやすさはあまり考えないことにするのであしからず
あともうやめてから何年も経つので仕様が変わってる部分も色々あると思う
EVEについてよく言われることは多分こんなところだと思う
設計に経済学者が関わっている
アイテムのほとんどをプレイヤーが作って販売している
インゲーム情報がAPIで公開されている
1000人規模の戦いが起こる
しかし、これらは解像度が低すぎて実態を一切説明できていない
自分が思うに、本当の凄さは
政治・軍事・経済が揃っていることによるダイナミズム
ユーザーがAPIを使って作っているアプリケーションの複数がプレイに事実上必須であるということ
の2点である
プレイヤー露店が並ぶなど、経済が回っているゲームは少ないながらも過去にいくつもある
しかしEVEはそういった経済とは異なる次元にある
これはNull secと呼ばれるプレイヤー支配領域の利権が絶大であることに由来する
また、プレイヤーが作っているのはアイテムの大半というレベルではなく、ほぼ全てである
公式が売るのはスキルブックや利用価値のないトレードアイテム程度であり、船・武器・施設・燃料などは記念品などの配布物を除き全て100%をプレイヤーが資源採掘を行い、生産するものだ
そしてプレイヤーのサイト閲覧数の3トップはおそらくRedditと、ユーザーが作ったマップサイトと、ユーザーが作ったキルボードであり、そういったサイトを使わないことは中級者以上ではプレイに差し支えるレベルである
しかしこれらの理解をするためには、長々とシステム説明をしなければならない
RPGにおける町などに相当するものとして、星系というものが存在する
星系には1つの恒星、複数の惑星と月、小惑星採掘場、宇宙ステーションなどがある他、プレイヤーも施設を設置できる
星系間はスターゲートによってつながっているが、Capitalという大型艦はゲートのルートを無視して、星系間直線距離によるジャンプ移動が可能である
星系にはセキュリティレベルというものが設定されており、これによってHigh sec,Low sec,Null secと大きく3つの基本カテゴリに分けられている(それ以外も本当はある)
それぞれの呼称はそのままシステムによるプレイヤーの保護度合いを示す
High secでは他人を攻撃すると星系のどこであろうと警察NPCが飛んできて殺される
Low secでは他人を攻撃すると一定時間犯罪者フラグが立ち、特定の場所にいる警察NPCに見つかると攻撃される。また、Capitalクラスの船が使用可能となる
Null secには一切警察が存在せず他人を攻撃しても一切のペナルティがないことに加え、星系の領土権をプレイヤー組織が獲得できる
NPCや採掘資源はセキュリティレベルが低いほど多くなっている
稼ぎを増やしたければNull secで領土を持って高い船を使うのが良いが、そういうプレイヤーを狙ってやってくるPVPerから守ってくれる警察はいない
そのため、プレイヤーたちは安全性を求めて組織化され、軍事力を獲得していき、軍事力を持つ複数の組織が関わることで政治が生まれるのである

さらに地域によって得られる資源が違うため、特産品を同盟内部で買い集めて独占し、外部マーケットの価格を釣り上げるような動きも一般的に行われている
MMOにおける一般的なギルドに相当するものとしてCorporation、つまり会社が存在する
会社では税率を設定でき、クエスト報酬などを自動的に徴収できる
Corporationの上にはAllianceというものがあり、領土を獲得するためにはAllianceが必要であることから、Null secにおいてはこれが基本の組織単位となる
加えて、システム上正式ではないがNull secでは複数Allianceの同盟関係として、Coalitionという組織単位が存在する
このゲームでは組織にも個人にも友好度設定が可能で、設備へのアクセス制御にも使えるため、これを使って運用されている
友好度プラスの相手は青く表示されるため、仲間は一般にBlueと呼ばれている
また、Coalitionは広義と狭義のように分かれており、普段はBlueではないが戦争時にはBlueとなって協力するというもある
Null secでは採掘場でレアな鉱石が多く出る、NPCを倒したときの稼ぎが多い、というのがプレイヤーレベルでは主要な利益であるが、敵も強いため十分に稼ぐためには初期投資が必要である
しかし対NPCに特化した装備はPVPには全く対応できないため、これらはいいカモでもある
プレイヤーは外敵に対処するためにIntelと呼ばれる敵の侵入と移動を報告するチャットチャンネルを独自に作っている他、パーティを組んで殺しに行くときもある
Coalitionレベルでの招集の場合、時間帯にもよるが5分で30-100人が集まっていたと思う
殺されれば稼げないし、殺されなくても敵がうろついているだけで退避したりしなければならないので、敵を発見し撃滅する能力が支配者にあることはその場所で経済活動を行う者にとってはインフラのようなものなのである
これにより軍事力と経済力は相乗効果を持つこととなる
稼げることは宣伝にもなるので当然人も増える
軍事力を持てばパワーバランスに与える影響が大きくなるため必然的に政治力も高くなり、結果的に3要素は相互作用し、Flywheelとなる
軍事力があるがちまちまNPC殺したくないという人たちもおり、領土を有料で貸し出すというビジネスも生み出されている
戦争時にはこのようなレンターを優先して攻撃することで追い出し、相手の資金源を潰すような動きも行われることがある
なお日本ではクリックミス戦争ことAsakaiの戦いや家賃滞納戦争ことB-Rの戦いが有名と思われるが、これらはあくまで1会戦であり、戦争ではない
EVEにおける戦争とは相手の組織力低下または領土の完全掌握を目指すものであり、決め手は基本的に戦略拠点の破壊・軍への壊滅的な打撃・経済的打撃のいずれかである
戦闘なんてものは所詮1手段なのである
実際のところAsakaiは突発的なイベントで、戦争の一部ですらなかった
B-Rは数ヶ月に渡る戦争の中で起こり、片方が戦力に壊滅的なダメージを負ったことで戦争の行方を決めた
なおこのときのダメージからの回復には2年間を要している
実際のところベストなのは相手が太刀打ちできない戦力を一度に用意して戦闘しないまま戦略拠点だけを破壊することだったりする
とてもつまらないが、戦争とはそういうものである
孫氏も戦うなと言っているし
折角なのでもう少し戦争について語ろう
EVEの戦争で大切なのは数、そして兵站である
戦いは数だよ兄貴
EVEでは距離の概念が非常に大きく、(侵略されているのでなければ)戦争時には普段の居住区域を離れて前線基地に移動しなければならない
また、艦隊はCoalitionレベルで編成が、スキルと装備まで定められている
これはDoctrineと呼ばれるが、状況に合わせて運用するため主要なものを大体3つほど用意している
これはみんながその時の環境で強いものを使うので、似通ってくることが多い
戦争における戦力とは資産が数字上いくらあるかではなく、前線基地にDoctrineにそったキャラと船をどれだけ用意できるかなのだ
通常の船1隻の装備は換装用も含めて10-15個くらいのアイテムで構成される
大規模Coalitionは5000キャラクター程度の運用能力を持つと思われる(タイムゾーンの関係もあり全員が同時に動くことはない)が、この全員がDoctrineの船を用意でき、さらに死んだときにすぐに再出撃できるキャパシティも確保しなければいけないのである
ところでここでアイテムのほぼ全てをプレイヤーが作っているという事実を思い出してほしい
これは上記のような膨大な数のアイテムを誰かが作り、前線基地に移動しなければいけないということを意味する
人がいなければ戦えないが、人がいても武器がなくてはやっぱり戦えないのである
なので相手勢力が使うアイテムの市場供給を絞ったり買い占めて妨害するなどの行為が、実際に行われてきた
大勢力がDoctrineを変更するときにはそのアイテムや材料が大量に購入されて値上がりしたりもする
輸送には燃料がかかるので前線では価格上がるが、みんなの財布が痛むので高すぎてはいけない
財布で思い出したが、基本的にどのAllianceもSRPと呼ばれる独自の保険サービスのようなものをやっている
ログを添付してフォームに投げ込んでおくと月次で損失額の7割程度が振り込まれる形が多分一番多かった
資金的理由で戦争が終わるときは、個人というよりはCoalitionレベルでこのSRPの財源がなくなることが多い
あと前線基地はなぜか第三者によって24時間Twitchで配信されている
折角なので戦争について面白い事例を挙げておこう
名前は覚えなくて良いが、Null secにおける最強勢力はそのほとんどの期間においてGoonswarm Federationと、Pandemic Legion(PL)/Northern Coalition.(NC)連合の2大巨頭状態である

ある時とある個人プレイヤーがカジノサイトを作った
指定されたインゲームキャラクターに送金するとチャージされ、獲得した景品はインゲームのアイテム送付機能で受け取れるようなシステムだったと思う
で、その胴元はとにかく稼ぎに稼いだのだが、なんとその後にNC/PLを援助してGoonを攻めさせたのである
双方がDoctrine採用していたとても強力だが供給が少ない戦艦を買い占めて流したり、直接資金を渡したりしていたと言われている
この戦争にはNull secほぼすべての勢力が参加したためWorld Warの名前がついており、その背景からCasino Warとも呼ばれた(CasinoはGoon側が皮肉として言っていた色が強い)

結果としてGoonは全領地を捨てて拠点移動を強いられ、玉突きで多くの人が引っ越すことになった
金だけで数千人を動かせるゲームなんて他にないのではなかろうか?
戦争は無限に語れるが、そろそろAPIの話に入る
まずEVEにおけるAPIは公開されていて使えるというものではなく、まともにプレイするためには何らかの形で関わらなければならないものである
(今は状況変わってるかもしれないが)APIが何かわからんやつはエアプ
APIを利用する代表的なサイトとしては
マップサイト
キルボード
マーケットサイト
Coalition管理システム
個別ツールとしては
キャラ管理ツール
装備シミュレーター
が挙げられる他、Corporationに入る際にAPIを提出して審査を受ける
今更だがEVEは宇宙を舞台にしたゲームである
だからマップは3次元である(宇宙は11次元というのは野暮なツッコミだ)
しかしインゲームで3次元マップを眺めるのは、正直人間には厳しいところがあった

そこで使うのがDotlanというサイトで、マップが2次元でまとめられていて、各星系間のスターゲートのつながりや、そこにある施設情報などが見れる(無理矢理2次元にしてるので位置関係は正確でない)
その最も重要な機能の1つがジャンプシミュレーターである
既に少しだけ触れたが、EVEにはCapitalと呼ばれるクラスの船があり、これらはスターゲートを無視して移動できる
しかしこれにはLight Year(光年)、つまり距離の制約がある
この距離は三角関数の基本的な計算によって算出される直角三角形の斜辺の長さだが、ツール無しでやるには3次元マップをにらみながら小数同士の掛け算をやり続けなければいけなくなる
Dotlanではジャンプシミュレーター機能があり、出発地点と到着地点を設定すると最短ルートなどを自動で出してくれ、さらにそれを手動で変更してURLとして共有することもできる
加えてジャンプ距離や燃料消費は船とスキルによって異なるが、これらもまとめて計算してくれる
引っ越しの際には5ジャンプとかすることも珍しくないので、これがなければ生きていけない
ちなみにこの直線距離の概念は、マップの中に自然の要塞的な場所をいくつか生み出している
敵をぶっ殺したらそいつがどんな装備だったか見たいというのは当然の欲求だと思う
EVEはそんな欲求に答え、とどめを刺すと相手の船の装備内容、評価額のレポートを送ってくれる
とどめを刺した人だけに
しかし戦い複数人でやることのほうが多いのであって、関与しても何も残らないのではつまらない
というニーズを埋めるために生まれたのがキルボードというサイトである
まあ中身はちょっと追加機能がついただけのビュワーなのだが、みんながAPIをここに登録することでゲーム内のキルメールが表示され、自分が関与したものがわかるようになる
APIはCorporationレベルでも作れるので、偉い人がそれを登録するのが習わしである
EVEでは星系(英語ではSystem)というものがあるという話をしたが地区単位はその上にConstellationというものとRegionというものがある
Regionの区切りはそれなりに重要なものとなっていて、Null secとLow secを分けたり、ものすごい距離が離れていたり、埋蔵資源が完全に切り替わったりする
加えて1つ重要なものとして、インゲームでは自分のいるRegion内のマーケットしか見れないという仕様がある
このため商品をより安く仕入れるため一工夫必要だ
そこで各Systemのマーケット情報をAPIから取得して1つの場所にまとめて表示するサイトを作ってくれる人がちらほらと存在していた
このサイトは単なる買い物だけでなくアビトラにも使えたりする
大規模Coalitionはみな独自に開発した管理システムを持っている
新規にCoalitionに参加したときにはここに全員がそれぞれAPIを登録し、所属情報が確認されるとDiscordで自動で権限付与される
他にも各Allianceの戦力情報が見れたり、作戦への参加記録を管理する機能などがある
戦争時には参加をサボってるとバレて怒られます
ゲームなんだけどな…
そもそもなんでこんな物が必要かというと、EVEは複垢推奨ゲーかつシステムで許されていれば何でもありゲー、つまりスパイをめっちゃやるゲームだからである
詐欺殺人泥棒なんでもござれ、基本AbuseとRMT以外はすべて許される
古い公式トレーラーにPKされたから複垢でAllianceに入って成り上がって崩壊させたというものがあるが、これは実話がベースになっているレベル
まああと普通に数が多すぎるというのもある
キャラ数万単位でいるので
EVEはレベルがなく完全スキル制のゲームで、スキルは時間習得になっている
つまりこれを使いたいからちゃちゃっとスキル上げてくるわ!みたいなことはできず(後からできるようになりましたが)、計画性が重要
上位スキルは4から最大の5に上げるだけで30日が普通と言えば計画ミスの重さは想像がつくだろう(高い船使うにはこういうスキルを5個とかとらないといけないのだが…)
これも常人には管理不可能なので、EVEMONというツールにAPI入れて取りたいスキルを入れる、順番と時間を全部出してくれる
自分でも並び替えできるので、それをインゲームに反映していく感じになる
装備シミュレーターで必要スキルのリストを作りつつ、いつも120日ぐらいの計画を作ったりしていた
このツールはお金やアイテムの所在地なども出してくれるので、とりあえず困ったら見るって感じの場所になっている
驚くべきことにインゲームに装備シミュレーターがなく、いきなり現物を装備するしかない恐ろしい仕様となっていた
しかも装壊したあと外すと壊れるアイテムとかもある
さらに船にはCPUなどのリソース上限があってこれで装備に制約がつけられていたりスキルレベルで各数値に微妙にボーナスがついたり…と変数が多すぎるので、当然いきなり現物装備は無理
そして今のスキルだけで考えるのも無理
なのでまずはシミュレーターで理想の装備を作り、APIでキャラデータを取り込み、スキル差分を見ていくという作業が必要になるのだ
使いたい船を3つぐらい考えてEVEMOMでスキル計画に落とし込んでいると、それだけで1日が消える
この2つはないとまともにプレイできないレベルで、プレイスタイルにかかわらずまともにプレイした人は全員使っていたはず
公式が装備シミュレーター機能を公式に実装したのはゲームが始まって10年経ってからでした…
スパイ万歳ゲーなのはすでに述べた通りだが、当然の流れとしてCorporationに人をいれるには最低限のスパイチェックが必要になる
これは基本的にはフルAPIを提出してもらい、スキル育成状況や送金履歴、ゲーム内メールなどを確認する作業となる
長くなってしまったが、APIがいかに不可欠かということは語れたと思う
もっともこれはゲーム側に機能が不足しているとも言えるのだが、コア機能は最低限とするのは設計的にはCrypto的でもあると言えよう
信者なので正直1プレイヤーとしてはブロックチェーンゲームがどんなロードマップを出してこようが現状はEVEの劣化にしかなり得ないと思っており、全然すごそうと思えないところです
Project Awakeningとメイポはちゃんと作られたら既存のものを全て吹き飛ばすと思う
一方でEVEはBOTとバランス調整により経済が崩壊しているので、RMT完全に許可した上で維持なんて無理やろという気持ちも…そもそもEVEが既に奇跡みたいなところがあるので
加えてCCPはEVE ONLINE本体以降いくつかゲームを作ろうとしてその全てが大失敗に終わっているのでそこが1番怖かったりしますが、だからこそ巨額調達で完全新規チームにするのだろうと見ています
ちなみにCCPはアイスランドの会社としてしか紹介されないことが多いが、買収されて韓国資本になっています

