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Triaに見るセルフカストディ型ネオバンクの好例

多くのプロジェクトがTGEをピークに影を薄めフェードアウトする中、2月初旬にTGEを迎えたTriaはむしろその勢いを増している。ソーシャルメディアでの話題性こそ落ち着いたものの、カード売上、トークン価格、プロダクト収益ともに堅実に伸びている。

個人的にこのネオバンク領域は1年以上注視しており、「クリプトカードがなぜ日本で急速に流行り出したのか」という記事を書いたのが約半年。その中で挙げた「PerpDEX統合による収益性増加」という観点で理想的なムーブをしているのが今のTriaと言える。

無論TGEから数ヶ月で成功を語るには時期尚早だが、上場ゴールが9割のこの市場において、これほど良いスタートを切れているプロジェクトはそうないだろう。ネオバンクの枠組みに限定されず、トークンプロジェクトの好例として、参考にすべき点が多いため、現在好調の背景を含めまとめてみる。


ネオバンクとは

前置きとして、「ネオバンク」というカテゴライズは極めて曖昧なものである。

一般的には、DeFiとCeFiをシームレスにつなぐモバイル中心の金融アプリ/サービスを総称して「ネオバンク」と呼ぶが、その背景やアプローチはさまざまだ。

特に、本来であればカストディ型とセルフカストディ型は区別されるべきだが、多くの文脈では一緒くたに扱われる。

最終的にCeFiとDeFiは両面からネオバンクに収束し、その線引きは曖昧になると考えられるが、ここではそれらを明確に区別した上で、セルフカストディ型のアプローチのみにフォーカスしたいと思う。

よって、XapoやRevolut、Kastなどのカストディ型ネオバンクは別カテゴリと考え、ここでは扱わない。


Triaの成長と競合比較

Triaがモバイルアプリのベータ版をリリースし、カードのプレセールとバーチャルカードの提供を開始したのが2025年9月。そこから半年経った現在、カードホルダーは約2.5万人、累計決済額は$60Mに成長している。

この分野の先駆者であるEtherfiやCypher、GnosisPayの累計決済額は$100M〜$300Mとされ、単純に決済額だけを比較してもかなりの成長スピードと言える。

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Crypto cards | Dune

しかもTriaに関しては、未だ日本と韓国でしか物理カードの配送が始まっていない。

それにもかかわらずこれほど早い成長を生んだ背景には、後述する最大6%のドル建てキャッシュバックという強いインセンティブがある。


クリプトカードを選ぶ基準

セキュリティについては、セルフカストディ型であれば大きな差はないと考えられる。というのも、カード決済の担保としてコントラクトにロックする以外の資金は自身のEOAで管理できるため、秘密鍵さえ守れば理論上第三者に資産を侵害されることはない。

その上でユーザーが重視するのは、やはりコストとリターンのバランスだ。

コスト:カード発行手数料(年会費)、決済手数料(+為替手数料)など

リターン:キャッシュバック、エアドロップ、エコシステムリワードなど

ユーザーにとって良い条件を提供することは利用者と決済額の増加に直結するが、一方でプロジェクトにとっては純利益が減少することを忘れてはいけない。


バッドケース ①: キャッシュバックがトークン

キャッシュバックを自社トークンで配るプロジェクトもあるが、売却によって利益を得ることだけがユーティリティになっているトークンに未来はない。逆にトークンを自社で買い支えるなら、その資金をキャッシュバックに充てれば良いという話になる。

Cypherなどはその典型で、リワードとしてトークンを配り続けた結果、現在のFDVは$16Mまで下落している。正確にはveTokenのような仕組みでユーティリティはあるが、これが全く機能しておらず、結果的に売られるためだけのトークンになっている。

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Cypher | CoinGecko

バッドケース ②:カードがキャッシュポイント

クリプトカード自体を主たるビジネスにするプロジェクトは、遠からず淘汰される可能性が高い。なぜならカードは、PMF後のプロジェクトにとって「ユーザーを集めるための導線」に過ぎないからだ。

例えばSolanaのDeFiハブとしてポジションを確立しているJupiterは、先物取引、現物アグリゲーター、ステーブルコインなどのプロダクトから日に$1M以上の収益を上げている。

DeFiでもトップ10に入る収益を上げている彼らからすれば、わざわざカードでマネタイズする必要がない。現にJupiterカードは年会費0、決済手数料はFX Feeの1%のみとほぼコストがかからない。

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DeFiLlama

Triaのケース

Triaはというと、決済手数料はJupiterと同様にFX Feeの1%のみだが、メンバーシップのティアによって異なる年会費を徴収している。

ユーザー目線では、6%のキャッシュバックがつくプレミアムカードで年会費$250(現在割引で$225)のため、単純計算で年間約$4,200以上決済すれば元が取れることになる。

それを超える還元はTriaの負担になるため、別の収益源がなければ長期的には持続しない。事実、Triaも当初キャッシュバックの源泉を懸念する声が上がっていた。

しかしTriaは、以前からBestPathというチェーン抽象化技術の開発に取り組んでおり、現在のネオバンク構想でもこのインフラが軸になっている。

つまり本来のビジネスモデル自体はアグリゲーターに近く、カードはユーザー集めのフックに過ぎない。

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Tria Neo Bank | Access Code: WW0SXA5669

PerpDEX統合による収益性の増加

これはTriaに限った話ではないが、Hyperliquidに代表されるPerpDEXの台頭は、ウォレット・ネオバンク系のプロジェクトに好機をもたらした。

ウォレット/ネオバンク側は、PerpDEXをプラットフォームに統合して先物取引UIを提供することで、独自に設定した取引手数料をユーザーから徴収できる。

現にMetamaskやRabby、Phantomなどの代表的なウォレットもすでにHyperliquidを統合し、月に数千〜数億ドルの手数料収益を稼いでいる。

しかしこれが単なる"棚ぼた"かというとそうではない。マネーレゴの世界でアグリゲーターのポジションを取ることは、いわばオセロの「角」を取るのに等しい。

驚くべきは、先物取引の提供開始からまだ1ヶ月のTriaが、これら老舗のウォレットプロジェクトと同水準の先物収益を上げている点である。

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X | Tria Japan

トークン設計

他のネオバンクプロジェクトと比較した時にTriaが優れているのは、エコシステム内でトークンの実需を作れていることである。

ユーザーはTRIAトークンをステーキング(現在は新規デポジット停止中)することで、最大2%の追加キャッシュバックが得られるほか、ATMキャッシングや先物取引にかかる手数料の割引が受けられる。

前述した収益性に加え、トークンを通じてユーザーへ価値が還元される仕組みをうまく構築できていると言える。

Triaエコシステムのフライホイール

  1. Triaエコシステム(ウォレット)内で手数料収益が発生

  2. キャッシュバックを通じてユーザー・ステーカーへ収益分配

  3. トークンをステークしてTriaカードを使うユーザーが増加

  4. Triaエコシステム(ウォレット)の手数料収益が増加

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トークンホルダーに対するインセンティブはトークン設計上、最も重要な要素である反面、有価証券性を有するトークンはSECに刺されるリスクがある。

そのため最近では、Hyperliquidのようにトークンバイバックを行う間接的な収益還元が主流になりつつあるが、Triaではキャッシュバックを通じて間接的に価値を還元している。

これによりホルダーは利益を享受するためにトークンを売却する必要がなく、結果としてバイバックよりも「売圧が生まれにくい」構造と言える。

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まとめ

Triaは、高還元カードをユーザー獲得とアプリ内収益を伸ばすための導線として位置づけたうえで、セルフカストディ中心のオールインワン金融アプリを構築している。

ユーザーとステーカーを優遇する施策がプロダクト収益によって裏付けられる構造を作れていることは、ネオバンク領域に限らずトークンプロジェクト全体の好例と言える。

今後の焦点は、収益と還元のバランスを維持しながらどこまで成長できるかにある。ロードマップではトラベルポータルやIBAN提供なども含まれており、ユーザーにとってもより便利な環境が期待される。

Triaが単なるクリプトカードの枠を越えて、収益性の高い金融プラットフォームとして定着できるかは、ネオバンク領域の次のスタンダードを占う試金石になるかもしれない。


Tria Neo Bank

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執筆:taka.eth

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