Cover photo

商売心得帖

East Venturesの村上です。

松下幸之助が書いた商売人としての心得についての本。投資先の起業家の方が読んでいてオススメしてくれたので、読んでみた。もし皆さんのオススメの書があれば教えて下さい!

https://www.amazon.co.jp/dp/B00799TG5A?&linkCode=ll1&tag=yu8muraka3-22&linkId=80d4a8444c182220057b2a60b039542f&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl

事業の話については、商店の経営をもとに書かれているので、ITと勝手が異なる部分もあってか現在の自分では血肉にすることが難しそうだった。しかし、人との関わり、部下・上司との関わりの話は普遍性があってとても良かった。

以下、メモ。

長所を見て短所を見ないことで任せる

当たり前の話なのかもしれないが、短所を見ると思い切って任せづらくなるので長所を見るという点。そして、実力のない人を重要なポストにつけて失敗することを許容している器量。

今日、どこの会社や商店でも、人を求め、人を育てていくという点に非常な努力をしております。けれども、実際のところは、そのわりあいに人がなかなか育ちにくいのが世の常でしょう。ここに、首脳者の立場に立つ人の悩みといえば悩みがあると思うのです。いったい、どうすれば人が育っていくものなのでしょうか。

考え方はいろいろあると思います。**しかし私自身としましては、元来、首脳者の心得として、つとめて社員の長所を見て短所を見ないよう心がけております。**あまり長所ばかりに目を向けるため、まだ十分には実力が備わっていない人を重要なポストにつけて、失敗してしまうような場合もなきにしもあらずです。しかし私はこれでよいと考えています。

もし私が、**つとめて短所を見るほうであったとしますと、安心して人を用いることができないのみならず、いつも失敗しはしないか、失敗しないだろうかと、ひとしお心を労するでしょう。**これでは事業経営にあたる勇気も低調となり、会社、商店の発展も十分には望めないようになりかねません。

責任者一人の責任

よく、社長の立場に立つ人が、**〝自分は一生懸命働いているのだけれど、社員が十分に働かないのでもうひとつうまくいかない〟というように考える場合があります。**ほんとうにそういうことがいえるときもあるでしょう。しかし、それはほとんど例外といってもよいような状態ではないでしょうか。

だいたいは、その店、その会社の発展していく姿というものは、そこの主人公一人の責任だと私は感じているのです。  私自身、今までいかなる場合でも、自分一人の責任だということを考えつつ、自問自答しながら事を進めてきました。そうして、それと同じように、**「部の責任は部長一人の責任である、課の責任は課長一人の責任である」**ということを言ってきたのです。一つの課がうまくいくかいかないかということは、課長によってだいたい左右されるものです。

姿勢で示す

**課長が自分の責任を厳しく自覚し、忙しければ一人で残って一生懸命に仕事をする、その姿を見て部下たちはどう感じるでしょうか。**おそらく、部下の中には、「課長、一服してください。ひとつ肩でももみましょう」といたわりの態度を示す人も出てくるでしょう。期せずして、課長と部下の心はかよいあい、一体感も生まれてきます。  

そのような、部下にいたわりの心を起こさせるような一生懸命の姿が自然に課長の仕事に現われるならば、必ずその課はうまくいくと思うのです。  だから、いずれの場合でも、それは課長一人の責任です。部であれば部長一人、会社全体なら社長一人の責任なのです。

命令ではなく相談して頼る

人使いが上手な松下幸之助は、自分の力や知恵が足りないことに自覚的ゆえに命令ではなく相談や頼ることで、みんなが協力してくれると自ら分析している。

「あなたは人使いが上手だ、その秘訣を話してくれ」とよく言われます。しかし、当の本人は人使いがうまい、といった自信はそれほどないのです。(中略)

人使いということはいろいろ見方がありましょう。非常に強力な知恵と力をもっているから人をうまく使うという人もありましょう。私自身はどうかというと、私は逆なのです。強力な力も知恵も乏しいのです。だから人に頼るとでもいうか、人に相談するとか、そういうことに自然になるわけです。

**それを受ける方は権柄ずくで命令されるよりも、相談されてみればいやとも言えないから、じゃあ協力しようかと、こうなる。**そういう姿を見て、あいつは人使いがうまいと、こう感じられる場合もあるのでしょう。

頼もしく信じて任せる

人それぞれとしつつも、信頼しての任せっぷりすごい。

が、私は人使いの上手下手というものは人によってみな違うと思うのです。非常に力のある人であって、だれに相談もせずして過ちなく事を決行するだけの立派な人は、やや命令的な態度をもってやったほうが能率があがりますし、また能率があがればそのあがった能率から生まれるところの成果は適当に分配されますから、それはそれでいいと思います。

しかしそういう力のない者は、私のやり方でやるほうがいいのではないでしょうか。**私はたいてい会社の社員を見ますと、私より偉いという感じがするのです。**一つは、私は学校も行っていませんからそういう感じがするのでしょうが、〝彼はなかなか偉い青年だな〟と、こう私は思ってしまうのです。

だから非常に頼もしく思うわけです。頼もしく思いますから、「君、こういうことをやってくれないか。君ならやれる。わしだったらやれないけれど、君ならやれる」と、こうなる。そうすると「それじゃあやってみましょうか」となる。そして一生懸命にやる。そうすると成功する。

上意と下意が上達している会社

簡単な言葉でいえば、風通しがよく、上から下にも下から上にも意見が浸透しやすい会社じゃないといけないという話で、お互いにそういう努力をし合っているかどうかが大切という。命令すれば行き渡ると考えるのは、実際には行き渡っていない。

人の和が醸成され、衆知が生かされていくという好ましい姿を生む一つの基盤として、上意が下達しているかどうか、下意が上達しているかどうかという事柄があると思います。社長の考えていることが少しも下に通じない、そういう会社は、概してうまくいっていないようです。また逆に、下意が全然上達していない会社は、さらによくないと思います。

ですから、たとえば課長であれば、自分の考えなり方針が課の人々にどのように浸透しているかを知る必要があります。そして、自分の考えていることで課の人たちが非としている点があるとすれば、なぜ非としているのかということについて話しあっていく必要があると思うのです。

そういうことを社長と幹部のあいだで、幹部と中堅幹部のあいだで、また課長と課員とのあいだで、絶えずくり返しお互いに行う努力をしていくことが大切です。それができる会社では衆知が集まり、衆知が生きてきます。

逆にそういうことをしない会社、つまり、**命令一つ出せばすみずみまで行き渡ると考えている会社は、実際には上意は全体に行き渡っていないことが多いようです。**それで、社長の思いと違った行動が随所に起こってきます。

部下からの提案を快く受け入れる

ここは地味にタメになる。提案してくれたことに対して誠意のある対応がないと、モチベが下がりいずれ提案がなくなり、腐敗していってしまう。その原因は上にある。

いろいろ考え方はあると思いますが、私は、一つには、上司なり先輩が、部下なり後輩の人の提案を受け入れるということが大切だと思うのです。つまり、部下が提案しやすいような雰囲気をみずからがもっていることが必要だと思うのです。部下の人が何か提案をもってきたような場合、「そんなことを考えてくれたのか。君は熱心だな。結構なことだ」と言って、まずそのこと自体を、快く受け入れることです。

しかし、その提案を採用するかどうかということについては、上司の立場でいろいろと考えなければならないこともあるでしょう。**非常に熱心に提案してくれたけれども、これは今すぐにはちょっと実際に用いることはできない、というような場合もあると思います。  そのような場合でも、とにかくいったん、その行為なり熱意なりは十分に受け入れて、そして「これはこういう状態だから、ちょっと待ってみようではないか。君、また考えてくれたまえ」と言う。**つまり、そういう発案をすればするほど上司が喜ぶのだというような雰囲気が、会社なり商店にみなぎってくることが大切だと思います。

「いや君、そんなのダメだ」と言う。またやって来る。「ああ君、これはダメだ」というようなことで、**三べんも提案したのに用いられなければ、〝どうもうちの上司は分かってないな、提案しても聞いてくれない、もうやめておこう〟ということにもなって、結局は決まった仕事だけをするということに落ちついてしまいます。**これでは、進歩も向上も生まれてきにくいのではないでしょうか。

いやなことを聞いて、いやな顔をしない

いやなことを言われて、いやな顔をしていると、誰も言ってくれなくなる。そうすると、ダメな所がわからず改善できなくなる。

**首脳者、経営者たる人がいやなことを聞いて、いやな顔をしたり、機嫌を悪くしたりするようでは、いやなことは伝わらないようになります。**いやなこと、いやな話ほどみずから反省すべき点、改善すべきところを含んでいることに思いをいたすべきだと思います。

だから会社でも商店でも、外部に対して手を打たなければならないような情報がすぐに首脳者に伝わるような雰囲気を、絶えず内部につくっておくことが、事業なり商売を進めていく上で肝要だと思うのです。