・・・ 2022.6.5. ドラフトテキスト 更新 ・・・ 円相とは、筆で描かれる円だ。 禅の思想のなかからうまれた表象だ。 ・ その円はなんであるのか。 無限、はたまた無、プラトニズムにも通じる完全性、ミニマルな美、ただの墨と紙。 解釈や解説は様々にある。 ・ しかし、禅はその根本的な思想として「不立文字(ふりゅうもんじ)」、つまり文字で書かれたものの解釈を離れ、悟りを直接に体験することを求めている。 円相も文字を離れるための装置であり、そこに何のアレゴリーを見出すか、何とアナロジーを組むか、どうアブダクションを動かすかは鑑賞者次第だが、いずれにしても「心身脱落」をこそ目指すべきであろう。 ・ 道元の『正法眼蔵』には、「人が悟りを得るのは、水に月の映るようなものである。月も濡れない、水もわれない。*」とある。 広大な天体が小さな水にやどること、それは、イデアールな理想が人の心にやどることの謂いだ。 私の別の作品 ASTROGRAPHIA は、天体をモチーフとした作品だが、その光を観念の鏡に映したものが ensographia ともいえる。 *『正法眼蔵 全訳注』 増谷文雄, 講...