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Association between recorded physical activity and cancer progression or mortality in individuals diagnosed with cancer in South Africa
南アフリカの民間医療保険制度に加入し、Vitalityプログラムを利用していた28,248人のステージ1のがん患者
がん診断前12か月間の身体活動量に基づき、「低(週<60分)」「中〜高(週≥60分)」の記録された身体活動
身体活動の記録がなかった対象者群(週0分)
主要アウトカムは、がんの進行(ステージ進行)、全死因死亡率、およびそれらまでの期間
後ろ向き縦断観察研究(2008年1月〜2022年10月)
身体活動なしに比べて、低身体活動群のがん進行または死亡のハザード比(HR)は0.84(95% CI 0.79–0.89)
中〜高身体活動群のがん進行または死亡のHRは0.73(95% CI 0.70–0.77)
全死因死亡率については、低活動群のHRは0.67(95% CI 0.61–0.74)、中〜高活動群のHRは0.53(95% CI 0.50–0.58)
中〜高活動は低活動に比べても有意にリスクを低下させた(死亡HR 0.79、95% CI 0.71–0.89)
ステージ進行・死亡を60か月で見ると、非活動群に比べ中〜高活動群では非進行率が7%、生存率が7%高かった
前立腺・乳がん・皮膚がんにおいても類似の傾向を示したが、前立腺がんの進行では統計的有意差なし
Mabena N, Rugbeer N, Lehmann S, et al. Association between recorded physical activity and cancer progression or mortality in individuals diagnosed with cancer in South Africa. Br J Sports Med. 2025;0:1–7. doi:10.1136/bjsports-2024-108813
がんは世界的に主要な早期死亡の原因であり、南アフリカでも死亡率が高い。
がん死亡の上位には肺、子宮頸部、乳房、前立腺、食道が含まれる。
全がんの30–40%は、喫煙、不健康な食事、肥満、身体的不活動などの修正可能な生活習慣因子によって予防可能。
すでにがんと診断された人でも、進行・再発・死亡は生活習慣因子により影響を受けうる。
身体活動ががん特異的死亡を18%、乳がん・大腸がん・前立腺がんの死亡を40–50%相対的に低下させることが過去の研究で示唆されている。
ただし、アフリカ地域における身体活動とがん転帰の関係に関するデータは限られていた。
本研究は、がん診断前の身体活動量が、その後のがん進行または死亡に与える影響を検討した。
年齢(カテゴリ別:<36, 36–45, 46–55, 56–65, >65)
性別
社会経済的ステータス(SES)
医療資源利用度(RUBスコア)
がんの種類(解析のサブグループで考慮)
喫煙歴(未収集)
飲酒習慣(未収集)
BMI(全体の17.5%しかデータがなく主解析では除外)
人種・民族(データ収集されておらず調整不可)
食習慣や食事内容(未評価)
心理的要因(うつ、ストレスなど)(未評価)
本研究は観察研究であり、因果関係は証明できない。
身体活動の非記録者は完全に活動していなかったとは限らない(記録漏れの可能性)。
喫煙・飲酒・食習慣など、他のライフスタイル因子を調整していない。
BMIは多くの参加者で欠損しており、主解析には含まれなかった。
逆因果性(早期のがん症状による活動量低下)の可能性が残るが、13–24か月前の活動量のサブ解析でも同様の傾向を示した。
対象は南アフリカの私的医療保険加入者であり、一般人口への外挿には慎重さが必要。
人種別の情報がないため、差異の検討ができなかった。
▼ハルシネーションの可能性(確率)とリスク評価
ハルシネーションの可能性: 3%未満(低リスク)
最もハルシネーションの可能性がある部分:
「心理的要因(うつ、ストレスなど)」を影響因子と示唆した点
→ 本文では直接言及はないが、一般的にがんと行動の関連で重要とされるため補足的に挙げた。
はい。
がん診断前の身体活動レベルと、その後のがん進行・死亡率との関連を検証する明確な目的が示されている。
部分的にYes。
対象はDiscovery Healthという私的医療保険加入者であり、比較的健康意識の高い層。
ステージ1のがん患者に限定しており、重症例を除外している。
対象集団は南アフリカ国内の一部に偏っており、外的妥当性(generalizability)に限界がある。
はい(比較的高い精度)。
身体活動はウェアラブル機器やジム来館、スポーツイベント参加記録を用いて定量的に記録。
自己申告ではないため、情報バイアスは少ない。
はい。
主アウトカムは「がん進行(ステージ)」と「全死因死亡」であり、明確で信頼性の高い指標が用いられている。
一部は調整、他は未調整。
調整済み:年齢、性別、SES、RUBスコア(併存疾患)、がん種
未調整:喫煙、飲酒、食習慣、心理的状態
BMIも補足解析のみであり、完全な交絡制御とは言い難い。
はい。
最大12年以上(154か月)のフォローアップがあり、脱落も明確に記録されている。
中〜高レベルの身体活動群では、がん進行(HR 0.73)と死亡率(HR 0.53)が有意に低下
低活動群でも、非活動群と比較して進行(HR 0.84)・死亡(HR 0.67)ともにリスク低下
進行リスク減少は16–27%、死亡リスク減少は33–47%
時間ごとの絶対差も提示されており、例えば5年後の死亡率は以下:
非活動群:16%
中〜高活動群:9%
→ 絶対リスク減少:7%、NNT = 約14
はい。
ほぼすべての比較でp < 0.001
サブ解析でも傾向は一致(ただし前立腺がんの進行は例外)
一部一致。
民間医療保険加入者という点で、一般人口よりもSESが高い傾向。
日本の医療制度下では、身体活動の記録手段や健康意識に差があるかもしれない。
実行可能性は高い。
「週60分以上の中程度活動」は多くの人が達成可能なレベル。
医療者による身体活動推奨のエビデンスとして使える。
はい。
身体活動の増加に伴うリスク(転倒、筋肉痛など)はあるが、明らかな有害事象の報告なし
生活指導としてのリスク・コストは低い。
Dr. bycomet