“The elementary mathematics of compound interest is one of the most important models there is on earth.” -- Charlie Munger
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セブンイレブンのはじまりは、イトーヨーカ堂にいた鈴木氏が流通先進国アメリカから学ぶために視察に行った際、セブンイレブンという食品や雑貨を扱う小型店を見つけたところから。
帰国後、調べると全米で4,000店舗を展開する超優良企業と気付く。
当時イトーヨーカ堂含め大型スーパーが急成長し、地元の商店街から拒否反応を受けていた頃で「これであれば大型店と小型店の共存共栄モデルがつくれる」と考え、鈴木氏はセブンイレブン(サウスランド社)と提携し、日本へセブンイレブンを輸入。その後、本国とは異なる独自の進化を遂げ、今日に至る流通の覇者に。
そんなセブンイレブンを創り上げた鈴木氏、セブンイレブンの軌跡を知りたく読んだ。(セブンのレジ横のカレーパンが大好きです。)
以下、メモ
あがり症で、学校で先生からあてられてると頭が真っ白になっていたり、引っ込み思案だったよう。劣等感を抱え、克服しなければと弁論部に入ったりもしたそう。
ただ、根本的な性格は治らないようで、今でも初対面の人と話すときなどにあがってしまうことがある。講演や講話はさほど苦にならない。**自分の知っていることだけを自分の知っている簡単な言葉で話せばいい。極度のあがり症人間が身につけたコツだ。**背伸びをしてどこかで聞きかじったことや付け焼き刃の知識で話したりしないことだ。自分のものになった知識で、具体的な例を挙げたりしながら話せば、特に難しくはない。
これほどの大経営者でも今でもこうした部分があるのが面白い。
しかし、一対一で話すのは今でも不得意で雑談が続かない。三十分も話しているとネタが切れ、何を話していいかわからなくなる。(中略)それでも経営者の仕事は何とかこなしている。いくら会話が弾んでも、”漫談”で終わったら何の意味もない。それはコミュニケーション能力でも何でもない。
YCと同じことを言ってる。
私はその後も一貫して、組織を構成する人数についてはできるだけ抑える方針をとった。一つは本質的な部分以外への仕事の膨張や拡大を防ぐためであり、もう一つは仕事の生産性を高めていくことだ。
**仕事が多くて苦しくなると、たいていは人を増やしてほしいと考えがちだ。しかし、その前に考えるべきは、なぜ仕事が多いのかという問題だ。**仕事が忙しいのは、無駄の多い過去の仕事のやり方をそのまま続けているため、生産性の低さに起因することが結構多いのだ。
(中略)その状態のまま、人を増やすとどうなるか。仕事のやり方は温存されるため、新たに人が増えたことで仕事がより細分化され、さらに生産性を下げるという悪循環に陥りがちだ。人が増えたことが逆に仕事を増やしてしまう可能性もある。
新聞でセブンイレブンの記事を読んだ酒販店経営者から開店希望の連絡がきた。しかし、提携元のサウスランド社は、最初の数店舗は直営で試した方がいいと難色を示されるが・・
社内でも、「いきなりフランチャイズ店を出していくのは冒険しすぎるので、直営店で実験してノウハウを実地で身につけるのが先でそれが良識ではないか」という意見が多くを占めた。
しかし、私はまったく反対の意見だった。セブンイレブンの創業の目的が「小型店と大型店の共存共栄」「既存小売店の活性化」にあることを示すためにも、一号店はフランチャイズ店にすべきではないか。そう考えて押し通した。
1号店オープンし売上は伸びたが、在庫の山が多すぎて利益はあまり変わらなかった。その原因は仕入れ方式にあった。
当時の商習慣では、卸からどの商品も大きなロットで仕入れ、その在庫がなくならいと次の仕入れができなかった。(中略)売れない商品は大量に残り、よく売れる商品はしばしば欠品になっていた。
このままでは日販も荒利益も伸びない。**解決するには仕入れの単位を小さくする小口配送が絶対に必要だ。**それは当時の業界とはまったく相容れないものだったが、常識を変えていかない限り、セブンイレブンのチェーン展開など不可能だ。拒否する問屋を素人集団が一社一社回り、粘り強く説得する苦闘の日々が始まった。
ドミナント戦略もこのときに始まった。新たに店舗を開発する「江東区から一歩も出るな」と厳命し、豊洲店の近隣にフランチャイズ店を集中させようとした。
ドミナント戦略は地域での認知度を高める心理的効果が大きい。しかし、オープン当初は一定配送地域にまとまった数の店舗を早くオープンし、物流面で小口配送を実現しやすくする意味合いが強かった。
枠を外せば楽になる。所定の枠を外して、とれるところへ行ってとってこいと指示すれば、皆、楽なところに走って、新規店舗の所在地が一気に拡散してしまう。ドミナントが実現できなければ、この事業は失敗する。原則は絶対に崩さない。決めた戦略は徹底する。そんな私を「原則居士」と呼ぶ人もいたが、トップとしての最たるものは、ものごとをいかに徹底させることができるか、徹底力にあると私は今も思っている。
小口配送と並んでセブンイレブンが取り組んだ物流改革が共同配送。
創業当初、一店舗への納品車両台数は一日七十台にも上った。**原因はメーカー主導の流通機構にあった。(中略)最も特徴的だったのは特約制度だ。**同一地域内で複数の卸を通じて商品を供給すると価格競争になり、値引きや商品価値の低下を招くおそれがある。そこで、メーカーはできる限り帳合いを一本化して、特約店とした。
その結果、メーカーと卸業者が縦割りに細かく分かれていった。
セブンイレブンの一店舗への納品車両台数が一日七十台にも上ったのも、メーカーおよびその系列の特約問屋がそれぞれ独自に配送していたためだった。(中略)そこで地域別に担当メーカーが他社製品も混載する共同配送を提案した。これも業界の常識を破る素人発想だったようでメーカーから猛反発を食らった。
そこで市場の真実を知ってもらおうと店頭で実験をすることに。従来はメーカーの担当者が納品にくると、他社の製品をずらして自社の製品を前に並べていた。そこで各銘柄の種類が見えるように並べ、顧客が自在に選べるようにした。
すると、集客力が上がり、どの銘柄も売り上げが伸びた。これが人間の心理だ。(中略)顧客の心理が消費を左右する。商品を並べれば売れた売り手市場は終わり、顧客が自分の心理に沿ってほしいものを選んでいく買い手市場の時代に入ったことを、店舗での実験を通して実証していった。
この実験結果をもとに各メーカーに混載方式を納得してもらい、日本の流通史上初の牛乳の共同配送が一九八〇年にスタートする。半年後には各社とも配送経費が三分の一に低減、販売量も増加した。
ヨーカ堂の取締役でもあった鈴木氏、ヨーカ堂が小売業で経常利益一位になった頃だったが、初の減益に転じてしまった。しかし売り手市場の成功体験からコスト削減案しかなく、深刻な事態に対応できてなかった。
「これまでは、利益率を低くして安売りすることが最善の方法であるかのように考えられてきた。その結果、お客様が求めている商品をしっかり提供できなくなったのは本末転倒である。利益とはお客様の支持の結果であり、利益こそ商売と経営のバロメーターと考えるべきである」
これに対して出席者から、さっそく質問があがった。「売り上げが伸びない状況でどうすれば利益を上げることができるのか」私は、死に筋商品が滞留して不良在庫が利益を食い潰している現状や、その一方で売れ筋商品が品切れして機会ロスを生じている現実を直視してもらうため、こう言い切った。
「在庫のロスを三分の一減らせば利益は倍増します」
セブン銀行を立ち上げた頃のこと。ATM利用の手数料のみで成り立たせる前代未聞の決済専門銀行に否定論に溢れていた。そしていざスタートし、赤字が続き業績は伸び悩んでいて現場に不安感が漂っていた。
ただ、私自身は横から見ていて、ATMの利用件数が増加傾向にあったため、いい方向に進んでいると感じていた。ものごとには必ず、ある一定のレベルに達すると急速に需要や人気が高まる爆発点がある。
セブンイレブンの店舗も新しい地域に出店したばかりのころは、一店舗あたりの平均日販はあまり伸びないが、その地域での出店数が一定レベルまで増えると顧客の認知度が高まり、日販のカーブが急速に立ち上がる。同じようにセブン銀行も、ATMの設置台数が一定レベルに達したころから利用件数が急速に立ち上がり、採算ラインを突破する。
(中略)みんながいいと言うことは、単純競争に陥り、たいてい失敗し、みんなに反対されることはなぜか成功する。私は常に「顧客の立場で」考え、判断してきた。だから決定的な失敗をせずにここまでこられたのではないだろうか。
リーマンショックで不況のときに行った施策が大成功した。一つは「キャッシュバック」キャンペーン。買い上げ金額から20-30%を現金で返すというもの。
例えば、一万円の商品を購入し、二十%返金なら二千円が返る。**理屈から考えれば、二割引きと同じだ。**むしろキャッシュバックの場合、顧客は最初にレジで代金を払ったあと、特設レジまで歩いて行き、混んでいれば並び、対象商品ごとに返金してもらうので、手間がかかり、面倒だ。
ところが、二千円が現金で戻ると、顧客は「ありがとうございます」と売り手側のわれわれに言ってくれるのだ。一万円の商品を二割引の八千円で買っても「ありがとうございます」とはけっして言わないだろう。
もう一つは「現金下取りセール」で、衣料品の買い上げ金額の合計5,000円ごとに顧客の不要になった衣類を一点1,000円で現金下取りするというもの。
これも理屈で考えれば、二割引と同じだ。むしろ下取り品を持っていく手間もかかる。なのに価格の二割引セール以上に好評で、期間中は売り上げが二〜三割もアップした。(中略)この二つの企画の大ヒットは、買い手市場のの時代にあって、何よりも重要な視点を示していた。
買い手市場では心理が重要
前述のとおり、日本はモノ余りが進み、先進国の中でも消費が最も飽和した国だ。**消費が飽和すればするほど、心理が消費行動を大きく左右する。それは景気が好転しても変わらない。**売り手市場から買い手市場へ変わってしまった日本では、過去の経験に基づいた理屈を捨て、顧客の心理に働きかける仕掛けが求められることを、この二つの不況突破企画は物語っていた。
これ以降も、買い手市場の色合いが強まれば強まるほど、顧客の心理を軸にすえた経営が求められるようになっていった。
コンビニ業界が踊り場に差し掛かった頃、同業他社は「国内は市場飽和だから海外にシフトする」と宣言し、海外への出店に注力していたが・・
これに対し、私は逆に国内市場について、「コンビニこそこれから一番伸びていかなければならない」と考え、セブンイレブンの店舗運営のあり方を大きく転換し、それがコンビニ復活に至り、同業他社も追随した経緯は前述したとおりだ。
同業他社が海外に目を向け、マスコミもそうした報道を繰り返している間も鈴木氏はその風潮に同調しない路線をとった。
それは一つには、変化対応を徹底すれば、国内市場には十分に潜在的な成長性があり、投資効率の面でも国内出店の方が海外出店より、はるかに有効であるとの判断があった。
そして、もう一つは、小売業の場合、先に海外に進出したからといって、必ずしも有利とは限らないとの持論があった。普通は、先に出店すればいい立地をとれる、だから早く出店すべきだと考える。それは頭で考える理屈だ。
しかし、顧客の視点に立つと、話は変わる。顧客は後発チェーンでも店舗のレベルが高ければ、そちらを選ぶ。結果、その店が繁盛すれば、そこがいい立地に変わり、状況が逆転する。実際、日本の仙台でも、コンビニ各チェーンの中でセブンイレブンは最後発だった。今は圧倒的なシェアを持つ。
**メーカーは生産性の視点でコストが低い地域に進出するが、小売業は住民の所得が一定水準以上になった段階で進出しても遅くはない。**それが投資効率を重視するわれわれの戦略だ。
セブンイレブンのはじまりは、イトーヨーカ堂にいた鈴木氏が流通先進国アメリカから学ぶために視察に行った際、セブンイレブンという食品や雑貨を扱う小型店を見つけたところから。
帰国後、調べると全米で4,000店舗を展開する超優良企業と気付く。
当時イトーヨーカ堂含め大型スーパーが急成長し、地元の商店街から拒否反応を受けていた頃で「これであれば大型店と小型店の共存共栄モデルがつくれる」と考え、鈴木氏はセブンイレブン(サウスランド社)と提携し、日本へセブンイレブンを輸入。その後、本国とは異なる独自の進化を遂げ、今日に至る流通の覇者に。
そんなセブンイレブンを創り上げた鈴木氏、セブンイレブンの軌跡を知りたく読んだ。(セブンのレジ横のカレーパンが大好きです。)
以下、メモ
あがり症で、学校で先生からあてられてると頭が真っ白になっていたり、引っ込み思案だったよう。劣等感を抱え、克服しなければと弁論部に入ったりもしたそう。
ただ、根本的な性格は治らないようで、今でも初対面の人と話すときなどにあがってしまうことがある。講演や講話はさほど苦にならない。**自分の知っていることだけを自分の知っている簡単な言葉で話せばいい。極度のあがり症人間が身につけたコツだ。**背伸びをしてどこかで聞きかじったことや付け焼き刃の知識で話したりしないことだ。自分のものになった知識で、具体的な例を挙げたりしながら話せば、特に難しくはない。
これほどの大経営者でも今でもこうした部分があるのが面白い。
しかし、一対一で話すのは今でも不得意で雑談が続かない。三十分も話しているとネタが切れ、何を話していいかわからなくなる。(中略)それでも経営者の仕事は何とかこなしている。いくら会話が弾んでも、”漫談”で終わったら何の意味もない。それはコミュニケーション能力でも何でもない。
YCと同じことを言ってる。
私はその後も一貫して、組織を構成する人数についてはできるだけ抑える方針をとった。一つは本質的な部分以外への仕事の膨張や拡大を防ぐためであり、もう一つは仕事の生産性を高めていくことだ。
**仕事が多くて苦しくなると、たいていは人を増やしてほしいと考えがちだ。しかし、その前に考えるべきは、なぜ仕事が多いのかという問題だ。**仕事が忙しいのは、無駄の多い過去の仕事のやり方をそのまま続けているため、生産性の低さに起因することが結構多いのだ。
(中略)その状態のまま、人を増やすとどうなるか。仕事のやり方は温存されるため、新たに人が増えたことで仕事がより細分化され、さらに生産性を下げるという悪循環に陥りがちだ。人が増えたことが逆に仕事を増やしてしまう可能性もある。
新聞でセブンイレブンの記事を読んだ酒販店経営者から開店希望の連絡がきた。しかし、提携元のサウスランド社は、最初の数店舗は直営で試した方がいいと難色を示されるが・・
社内でも、「いきなりフランチャイズ店を出していくのは冒険しすぎるので、直営店で実験してノウハウを実地で身につけるのが先でそれが良識ではないか」という意見が多くを占めた。
しかし、私はまったく反対の意見だった。セブンイレブンの創業の目的が「小型店と大型店の共存共栄」「既存小売店の活性化」にあることを示すためにも、一号店はフランチャイズ店にすべきではないか。そう考えて押し通した。
1号店オープンし売上は伸びたが、在庫の山が多すぎて利益はあまり変わらなかった。その原因は仕入れ方式にあった。
当時の商習慣では、卸からどの商品も大きなロットで仕入れ、その在庫がなくならいと次の仕入れができなかった。(中略)売れない商品は大量に残り、よく売れる商品はしばしば欠品になっていた。
このままでは日販も荒利益も伸びない。**解決するには仕入れの単位を小さくする小口配送が絶対に必要だ。**それは当時の業界とはまったく相容れないものだったが、常識を変えていかない限り、セブンイレブンのチェーン展開など不可能だ。拒否する問屋を素人集団が一社一社回り、粘り強く説得する苦闘の日々が始まった。
ドミナント戦略もこのときに始まった。新たに店舗を開発する「江東区から一歩も出るな」と厳命し、豊洲店の近隣にフランチャイズ店を集中させようとした。
ドミナント戦略は地域での認知度を高める心理的効果が大きい。しかし、オープン当初は一定配送地域にまとまった数の店舗を早くオープンし、物流面で小口配送を実現しやすくする意味合いが強かった。
枠を外せば楽になる。所定の枠を外して、とれるところへ行ってとってこいと指示すれば、皆、楽なところに走って、新規店舗の所在地が一気に拡散してしまう。ドミナントが実現できなければ、この事業は失敗する。原則は絶対に崩さない。決めた戦略は徹底する。そんな私を「原則居士」と呼ぶ人もいたが、トップとしての最たるものは、ものごとをいかに徹底させることができるか、徹底力にあると私は今も思っている。
小口配送と並んでセブンイレブンが取り組んだ物流改革が共同配送。
創業当初、一店舗への納品車両台数は一日七十台にも上った。**原因はメーカー主導の流通機構にあった。(中略)最も特徴的だったのは特約制度だ。**同一地域内で複数の卸を通じて商品を供給すると価格競争になり、値引きや商品価値の低下を招くおそれがある。そこで、メーカーはできる限り帳合いを一本化して、特約店とした。
その結果、メーカーと卸業者が縦割りに細かく分かれていった。
セブンイレブンの一店舗への納品車両台数が一日七十台にも上ったのも、メーカーおよびその系列の特約問屋がそれぞれ独自に配送していたためだった。(中略)そこで地域別に担当メーカーが他社製品も混載する共同配送を提案した。これも業界の常識を破る素人発想だったようでメーカーから猛反発を食らった。
そこで市場の真実を知ってもらおうと店頭で実験をすることに。従来はメーカーの担当者が納品にくると、他社の製品をずらして自社の製品を前に並べていた。そこで各銘柄の種類が見えるように並べ、顧客が自在に選べるようにした。
すると、集客力が上がり、どの銘柄も売り上げが伸びた。これが人間の心理だ。(中略)顧客の心理が消費を左右する。商品を並べれば売れた売り手市場は終わり、顧客が自分の心理に沿ってほしいものを選んでいく買い手市場の時代に入ったことを、店舗での実験を通して実証していった。
この実験結果をもとに各メーカーに混載方式を納得してもらい、日本の流通史上初の牛乳の共同配送が一九八〇年にスタートする。半年後には各社とも配送経費が三分の一に低減、販売量も増加した。
ヨーカ堂の取締役でもあった鈴木氏、ヨーカ堂が小売業で経常利益一位になった頃だったが、初の減益に転じてしまった。しかし売り手市場の成功体験からコスト削減案しかなく、深刻な事態に対応できてなかった。
「これまでは、利益率を低くして安売りすることが最善の方法であるかのように考えられてきた。その結果、お客様が求めている商品をしっかり提供できなくなったのは本末転倒である。利益とはお客様の支持の結果であり、利益こそ商売と経営のバロメーターと考えるべきである」
これに対して出席者から、さっそく質問があがった。「売り上げが伸びない状況でどうすれば利益を上げることができるのか」私は、死に筋商品が滞留して不良在庫が利益を食い潰している現状や、その一方で売れ筋商品が品切れして機会ロスを生じている現実を直視してもらうため、こう言い切った。
「在庫のロスを三分の一減らせば利益は倍増します」
セブン銀行を立ち上げた頃のこと。ATM利用の手数料のみで成り立たせる前代未聞の決済専門銀行に否定論に溢れていた。そしていざスタートし、赤字が続き業績は伸び悩んでいて現場に不安感が漂っていた。
ただ、私自身は横から見ていて、ATMの利用件数が増加傾向にあったため、いい方向に進んでいると感じていた。ものごとには必ず、ある一定のレベルに達すると急速に需要や人気が高まる爆発点がある。
セブンイレブンの店舗も新しい地域に出店したばかりのころは、一店舗あたりの平均日販はあまり伸びないが、その地域での出店数が一定レベルまで増えると顧客の認知度が高まり、日販のカーブが急速に立ち上がる。同じようにセブン銀行も、ATMの設置台数が一定レベルに達したころから利用件数が急速に立ち上がり、採算ラインを突破する。
(中略)みんながいいと言うことは、単純競争に陥り、たいてい失敗し、みんなに反対されることはなぜか成功する。私は常に「顧客の立場で」考え、判断してきた。だから決定的な失敗をせずにここまでこられたのではないだろうか。
リーマンショックで不況のときに行った施策が大成功した。一つは「キャッシュバック」キャンペーン。買い上げ金額から20-30%を現金で返すというもの。
例えば、一万円の商品を購入し、二十%返金なら二千円が返る。**理屈から考えれば、二割引きと同じだ。**むしろキャッシュバックの場合、顧客は最初にレジで代金を払ったあと、特設レジまで歩いて行き、混んでいれば並び、対象商品ごとに返金してもらうので、手間がかかり、面倒だ。
ところが、二千円が現金で戻ると、顧客は「ありがとうございます」と売り手側のわれわれに言ってくれるのだ。一万円の商品を二割引の八千円で買っても「ありがとうございます」とはけっして言わないだろう。
もう一つは「現金下取りセール」で、衣料品の買い上げ金額の合計5,000円ごとに顧客の不要になった衣類を一点1,000円で現金下取りするというもの。
これも理屈で考えれば、二割引と同じだ。むしろ下取り品を持っていく手間もかかる。なのに価格の二割引セール以上に好評で、期間中は売り上げが二〜三割もアップした。(中略)この二つの企画の大ヒットは、買い手市場のの時代にあって、何よりも重要な視点を示していた。
買い手市場では心理が重要
前述のとおり、日本はモノ余りが進み、先進国の中でも消費が最も飽和した国だ。**消費が飽和すればするほど、心理が消費行動を大きく左右する。それは景気が好転しても変わらない。**売り手市場から買い手市場へ変わってしまった日本では、過去の経験に基づいた理屈を捨て、顧客の心理に働きかける仕掛けが求められることを、この二つの不況突破企画は物語っていた。
これ以降も、買い手市場の色合いが強まれば強まるほど、顧客の心理を軸にすえた経営が求められるようになっていった。
コンビニ業界が踊り場に差し掛かった頃、同業他社は「国内は市場飽和だから海外にシフトする」と宣言し、海外への出店に注力していたが・・
これに対し、私は逆に国内市場について、「コンビニこそこれから一番伸びていかなければならない」と考え、セブンイレブンの店舗運営のあり方を大きく転換し、それがコンビニ復活に至り、同業他社も追随した経緯は前述したとおりだ。
同業他社が海外に目を向け、マスコミもそうした報道を繰り返している間も鈴木氏はその風潮に同調しない路線をとった。
それは一つには、変化対応を徹底すれば、国内市場には十分に潜在的な成長性があり、投資効率の面でも国内出店の方が海外出店より、はるかに有効であるとの判断があった。
そして、もう一つは、小売業の場合、先に海外に進出したからといって、必ずしも有利とは限らないとの持論があった。普通は、先に出店すればいい立地をとれる、だから早く出店すべきだと考える。それは頭で考える理屈だ。
しかし、顧客の視点に立つと、話は変わる。顧客は後発チェーンでも店舗のレベルが高ければ、そちらを選ぶ。結果、その店が繁盛すれば、そこがいい立地に変わり、状況が逆転する。実際、日本の仙台でも、コンビニ各チェーンの中でセブンイレブンは最後発だった。今は圧倒的なシェアを持つ。
**メーカーは生産性の視点でコストが低い地域に進出するが、小売業は住民の所得が一定水準以上になった段階で進出しても遅くはない。**それが投資効率を重視するわれわれの戦略だ。
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