
カナダ国立銀行、マイクロストラテジー株に2億7300万ドル投資—ビットコインへの機関投資家アプローチが加速
トロント—カナダ国立銀行(National Bank of Canada)は、デジタル資産市場への進出を強化する伝統的金融機関の一角として注目を集めている。
暗号資産関連データプラットフォームのBTCtreasuriesによると、同行は3,980億ドル規模の資産を背景に、マイクロストラテジー(MicroStrategy、MSTR)の147万株を取得し、その総額はおよそ2億7,300万ドルに達する。
この取引により、カナダ国立銀行はマイクロストラテジーを通じて**ビットコイン(BTC)**の価格変動に間接的にエクスポージャーを持つことになる。すでに複数の金融機関が同様の手法で暗号資産市場への参入を図っており、同行の動きはその流れを後押しする形だ。
マイクロストラテジーは、マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏の主導のもと、かつてのビジネスインテリジェンス企業からビットコイン保有会社へと変貌を遂げた。現在では21万4,000BTC超を保有し、世界有数の企業保有額を誇る。
規制環境の厳しい銀行にとって、自社で暗号資産を直接保管する代わりに、上場企業の株式を通じてビットコインの価格上昇を享受する手法は、流動性と法的整合性の両立を実現できる戦略と言える。
2025年に入り、主要銀行や資産運用会社の間では、暗号資産関連株、現物ビットコインETF、ブロックチェーンファンドなどを通じた「間接投資」が拡大している。今回の取得は、カナダ国立銀行がビットコインの制度的成熟を中長期的視点で評価していることを示すものだ。
この発表は、半減期後の需給逼迫やETF資金流入によりビットコイン市場が再び勢いを取り戻している時期と重なる。
低金利環境とインフレ圧力が続く中、希少性を持つビットコインは依然としてインフレヘッジ資産および高リスク・高リターンの成長資産として注目を集めている。
マイクロストラテジーの株価は過去1年間で急騰しており、しばしば「ビットコインのレバレッジ版」とも評される。こうしたボラティリティを伴う市場で、同銀行が大規模なポジションを取ったことは、短期的な値動きではなく、暗号資産の制度化局面に賭けた長期戦略である可能性を示している。
この投資は、伝統的金融機関がビットコインに対する立場を見直しつつあることを象徴している。
企業財務や銀行ポートフォリオの中にデジタル資産が組み込まれ始めたことで、「従来型金融」と「クリプトファイナンス」の境界は急速に曖昧になりつつある。
今後、他の銀行がカナダ国立銀行に続く形でマイクロストラテジー株を取得すれば、同社は機関投資家にとってのビットコイン・ゲートウェイ銘柄としての地位をさらに強化するだろう。これは、従来の金融システムとブロックチェーン経済の融合が現実のものとなりつつあることを示している。
BitCap
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