
プレバンキングとは何か?
プレバンキングは、偽情報に触れる前に認識力を高めて「免疫」をつける手法です。本記事では、その仕組みや効果を簡潔に解説します。はじめに近年、インターネット上で流布する偽情報により、社会的混乱や不信が生じています。こうした状況に対抗する方法の一つとして注目されているのが「プレバンキング(prebunking)」です。これは、人々が偽情報に触れる前に、事前にその手口や特徴を学ぶことで、誤った情報を鵜呑みにしにくくする戦略とされています。プレバンキングの基本的な考え方プレバンキングは心理学の「予防接種理論(inoculation theory)」に基づきます。あらかじめ小規模な「誤情報の種」を提示し、その不自然さや詭弁を指摘することで、人々は後に本格的な偽情報に直面した際、批判的思考を働かせやすくなります。これにより、デマや陰謀論に流されにくくなり、情報を吟味する習慣が強化されます。研究事例と成果研究者らはプレバンキングの有効性を実験的に示しています。たとえば、Jigsaw(Google傘下の組織)はYouTube上でプレバンク動画を配信し、視聴者が後の偽情報に抵抗する力が高まることを報...

ChatGPT4+Paperpileは新たな時代の幕開けに
実用的なAI医療情報検索ツールについては記事にまとめたばかりですが、さらに続々と新たなツールが実装され、進化が止まりません。大規模言語モデルは医療情報検索に使えるか大規模言語モデルによる生成AIは徐々に日常業務に浸透しつつあると感じます。 これが情報検索にも使えれば鬼に金棒、一石二鳥なのですが、残念ながらまだそこまでの能力は身につけていないようです。LLaMaChat+Perplexity学術論文などの情報検索ツールではない、大規模言語モデルによる生成AIの実力についても調べています。 引用文献を明示するPerplexityが実装には一番近い存在かと感じていました。ここでは、さらに改良されたPerplexity Labsの LLaMa Chat を試して検証してみました。 プロンプトはこちらYou are a librarian. I am a researcher searching for up-to-date medical articles from around the world. Please provide me with the relevant informa...
薬のかわりに音楽を
認知症の音楽療法2024年2月23日の日経新聞記事から。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC051HJ0V00C24A2000000/大規模な臨床研究を通じて認知症や精神疾患で効果が出るエビデンス(科学的根拠)を蓄積する動きも進み、再注目の機運が高まっている。とあります。よいことです。 背景はコロナ禍というよりも、認知症治療薬の新薬開発では期待された効果が得られなかったため、専門家の関心が非薬物療法に移っていった、というのが実情でしょう。 音楽療法をはじめ非薬物療法の論文数が急増しています。2013年のメタ分析この記事で紹介されていたメタ分析はこちら。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23511664/ 2013年に発表された日本人の論文ですが、ちょっと古いですね。2つのメタ分析その後も系統的レビュー・メタ分析がいくつか発表されています。 代表的な2つの論文をこちらの記事で紹介しました。 https://paragraph.xyz/@smaller/dementia-music 残念ながら、いずれも効果は...
ひとりジャーナルクラブ 🤖 生成AI

プレバンキングとは何か?
プレバンキングは、偽情報に触れる前に認識力を高めて「免疫」をつける手法です。本記事では、その仕組みや効果を簡潔に解説します。はじめに近年、インターネット上で流布する偽情報により、社会的混乱や不信が生じています。こうした状況に対抗する方法の一つとして注目されているのが「プレバンキング(prebunking)」です。これは、人々が偽情報に触れる前に、事前にその手口や特徴を学ぶことで、誤った情報を鵜呑みにしにくくする戦略とされています。プレバンキングの基本的な考え方プレバンキングは心理学の「予防接種理論(inoculation theory)」に基づきます。あらかじめ小規模な「誤情報の種」を提示し、その不自然さや詭弁を指摘することで、人々は後に本格的な偽情報に直面した際、批判的思考を働かせやすくなります。これにより、デマや陰謀論に流されにくくなり、情報を吟味する習慣が強化されます。研究事例と成果研究者らはプレバンキングの有効性を実験的に示しています。たとえば、Jigsaw(Google傘下の組織)はYouTube上でプレバンク動画を配信し、視聴者が後の偽情報に抵抗する力が高まることを報...

ChatGPT4+Paperpileは新たな時代の幕開けに
実用的なAI医療情報検索ツールについては記事にまとめたばかりですが、さらに続々と新たなツールが実装され、進化が止まりません。大規模言語モデルは医療情報検索に使えるか大規模言語モデルによる生成AIは徐々に日常業務に浸透しつつあると感じます。 これが情報検索にも使えれば鬼に金棒、一石二鳥なのですが、残念ながらまだそこまでの能力は身につけていないようです。LLaMaChat+Perplexity学術論文などの情報検索ツールではない、大規模言語モデルによる生成AIの実力についても調べています。 引用文献を明示するPerplexityが実装には一番近い存在かと感じていました。ここでは、さらに改良されたPerplexity Labsの LLaMa Chat を試して検証してみました。 プロンプトはこちらYou are a librarian. I am a researcher searching for up-to-date medical articles from around the world. Please provide me with the relevant informa...
薬のかわりに音楽を
認知症の音楽療法2024年2月23日の日経新聞記事から。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC051HJ0V00C24A2000000/大規模な臨床研究を通じて認知症や精神疾患で効果が出るエビデンス(科学的根拠)を蓄積する動きも進み、再注目の機運が高まっている。とあります。よいことです。 背景はコロナ禍というよりも、認知症治療薬の新薬開発では期待された効果が得られなかったため、専門家の関心が非薬物療法に移っていった、というのが実情でしょう。 音楽療法をはじめ非薬物療法の論文数が急増しています。2013年のメタ分析この記事で紹介されていたメタ分析はこちら。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23511664/ 2013年に発表された日本人の論文ですが、ちょっと古いですね。2つのメタ分析その後も系統的レビュー・メタ分析がいくつか発表されています。 代表的な2つの論文をこちらの記事で紹介しました。 https://paragraph.xyz/@smaller/dementia-music 残念ながら、いずれも効果は...
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在宅医療分野における医師・看護師のタスクシェアが内閣府で議論され、実施に踏み出しています。近い将来に実現されそうな未来像について、閣議決定の内容から注目ポイントを5つ挙げてみました。
2023年6月16日、 『規制改革実施計画』が内閣府で閣議決定されました。このなかで、在宅医療における医療関係職種間のタスクシェアに関する内容がありますので、一部抜粋引用して確認します。
在宅領域など地域医療における医師―看護師のタスクシェア
a 厚生労働省は、高い知識や技術を持つ看護師が在宅領域など地域医療において、多くは慢性疾患を持つ患者の生活に立脚した健康管理や予防に、その能力や専門性を発揮できる環境を整備し、患者、医師の負担を軽減するため以下の措置を講ずる。
① 厚生労働省は、在宅医療において、患者に対し適時に適切な医療が行われることを確保する観点から、看護師が医師の包括的指示を受けて行い得る業務を明確化するため、現場のニーズを踏まえて、包括的指示の例を示す。包括的指示の例を作成するに当たっては、在宅療養者の症状変化に対して医師と看護師の適切な連携の下に、既に提供されている薬剤の使用、検査、処置(抜糸抜鈎等)等の実施を妨げることがないよう留意するものとする。
② 在宅医療など地域医療の現場において、虚弱高齢者に対する生活評価(入浴等)、認知機能評価、生活習慣病患者に対する指導等については、看護師限りで実施可能な行為の範囲が不明確であり、結果として医師に都度確認があるため、医師、看護師の双方にとって負担となっているとの指摘があることを踏まえ、適切な連携の下に円滑に対応されている具体例を示す。なお、具体例の提示に当たっては、状態変化等を踏まえた必要時の医師への報告や相談を妨げることなく、また、該当具体例以外を看護師限りで行ってはならないと誤認されないよう留意するものとする。
→ 令和5年度措置
b 厚生労働省は、現行の特定行為研修修了者の活躍の場が大病院に偏っているとの指摘を踏まえ、特に地域医療(地域の小規模医療機関での外来看護や訪問看護など)で活躍可能な特定行為研修修了者の養成を促進し、医師不足が顕著な地域を始めとする各地でのケアの質を維持するため以下の措置を講ずる。
① 現行の特定行為研修の受講に要する時間と費用は、一般の看護師や医療機関にとっては負担が重く、普及は現実的ではないとの調査結果が示された。特定行為研修の時間数は、現在対象となっている特定行為を実施するための実践的かつ高度な理解力、思考力、判断力を身につけるために必要な内容であるが、看護師によっては既にこうした能力を備えている場合もあることから、その全部又は一部を、国の関与の下、講義履修などのプロセス評価のみならず、現場におけるアウトカム評価で代替することを可能とし、より多くの看護師が積極的に挑戦可能なものとする。あわせて、アウトカム評価が困難な部分については、短期集中型ではなく、看護師の日常業務の空き時間での長期にわたる研修までの間措置を可能とし、あわせて、オンライン研修の活用を進める。
② 実務上、特定行為の実施に必要な手順書が医師から必ずしも円滑に発行されない実態を踏まえ、関係団体の協力も得ながら医師に対し、手順書の理解促進のための周知・広報を図る。また、手順書を発行する医師の負担を軽減するため、医師が簡易に作成できる様式例の検討や看護師の裁量をより拡大するなど、現在の標準的な手順書例を改定する。
→ 令和5年度検討開始、遅くとも令和6年度措置
③ 特定行為(診療の補助)について、その運用状況と地域医療におけるニーズを現場の医師及び看護師等から把握し、特定行為の拡充について検討する。
→ (前段)令和5年度 措置、(後段)令和6年度検討開始、 令和7年度結論
c 厚生労働省は、上記各措置を円滑に実施しつつ、①地域の在宅患者に対して最適なタイミングで必要な医療が提供できないため患者が不利益を被る具体的状況や②そのような具体的状況において医師、看護師が実際に果たしている役割や課題を令和6年度及び7年度に調査し、更なる医師、看護師間でのタスクシェアを推進するための措置について検討する。その際、限定された範囲で診療行為の一部を実施可能な国家資格であるナース・プラクティショナー制度を導入する要望に対して様々な指摘があったことを適切に踏まえるものとする。上記検討の間においても、離島・へき地等において特区制度を活用した実証の提案があった場合は、その結果も踏まえて所要の対応を行う。
→ (前段)令和6年度及び令和7年度措置、(中段)令和7年度結論、 (後段)令和7年度までの間措置
まとめます。
在宅医療分野における医師・看護師のタスクシェアが内閣府で議論され、実施に踏み出しています。近い将来に実現されそうな未来像について、閣議決定の内容から注目ポイントを5つ挙げてみました。
看護師が医師の包括的指示を受けて行い得る業務が明確化される。
看護師限りで実施可能な行為の範囲の具体例が示される。
特定行為研修は現場におけるアウトカム評価で代替できるようになる。
特定行為が拡充される。
限定された範囲で診療行為の一部を実施可能な国家資格であるナース・プラクティショナー制度の導入については検討する。
内閣府. 『規制改革実施計画』(令和5年6月16日閣議決定)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/program/230616/01_program.pdf
■ 編集長
byc (bycomet) Editor, Director & Physician
2007年からブログやツイッターで活動を開始。ウェブマガジン「地域医療ジャーナル」(2015-2023年、有料会員数10,886人月)、オンラインコミュニティ「地域医療編集室」(2018-2022年、累積登録40人)を編集長として運営。2022年にはオンラインプラットフォーム「小さな医療」を開設。現在、登録会員数120人。
地域医療に携わる医師・編集長として、エビデンスに基づく医療の実践と情報発信をつづけています。
■ 小さな医療 Discord
https://discord.com/invite/hqhYRV3PJm
在宅医療分野における医師・看護師のタスクシェアが内閣府で議論され、実施に踏み出しています。近い将来に実現されそうな未来像について、閣議決定の内容から注目ポイントを5つ挙げてみました。
2023年6月16日、 『規制改革実施計画』が内閣府で閣議決定されました。このなかで、在宅医療における医療関係職種間のタスクシェアに関する内容がありますので、一部抜粋引用して確認します。
在宅領域など地域医療における医師―看護師のタスクシェア
a 厚生労働省は、高い知識や技術を持つ看護師が在宅領域など地域医療において、多くは慢性疾患を持つ患者の生活に立脚した健康管理や予防に、その能力や専門性を発揮できる環境を整備し、患者、医師の負担を軽減するため以下の措置を講ずる。
① 厚生労働省は、在宅医療において、患者に対し適時に適切な医療が行われることを確保する観点から、看護師が医師の包括的指示を受けて行い得る業務を明確化するため、現場のニーズを踏まえて、包括的指示の例を示す。包括的指示の例を作成するに当たっては、在宅療養者の症状変化に対して医師と看護師の適切な連携の下に、既に提供されている薬剤の使用、検査、処置(抜糸抜鈎等)等の実施を妨げることがないよう留意するものとする。
② 在宅医療など地域医療の現場において、虚弱高齢者に対する生活評価(入浴等)、認知機能評価、生活習慣病患者に対する指導等については、看護師限りで実施可能な行為の範囲が不明確であり、結果として医師に都度確認があるため、医師、看護師の双方にとって負担となっているとの指摘があることを踏まえ、適切な連携の下に円滑に対応されている具体例を示す。なお、具体例の提示に当たっては、状態変化等を踏まえた必要時の医師への報告や相談を妨げることなく、また、該当具体例以外を看護師限りで行ってはならないと誤認されないよう留意するものとする。
→ 令和5年度措置
b 厚生労働省は、現行の特定行為研修修了者の活躍の場が大病院に偏っているとの指摘を踏まえ、特に地域医療(地域の小規模医療機関での外来看護や訪問看護など)で活躍可能な特定行為研修修了者の養成を促進し、医師不足が顕著な地域を始めとする各地でのケアの質を維持するため以下の措置を講ずる。
① 現行の特定行為研修の受講に要する時間と費用は、一般の看護師や医療機関にとっては負担が重く、普及は現実的ではないとの調査結果が示された。特定行為研修の時間数は、現在対象となっている特定行為を実施するための実践的かつ高度な理解力、思考力、判断力を身につけるために必要な内容であるが、看護師によっては既にこうした能力を備えている場合もあることから、その全部又は一部を、国の関与の下、講義履修などのプロセス評価のみならず、現場におけるアウトカム評価で代替することを可能とし、より多くの看護師が積極的に挑戦可能なものとする。あわせて、アウトカム評価が困難な部分については、短期集中型ではなく、看護師の日常業務の空き時間での長期にわたる研修までの間措置を可能とし、あわせて、オンライン研修の活用を進める。
② 実務上、特定行為の実施に必要な手順書が医師から必ずしも円滑に発行されない実態を踏まえ、関係団体の協力も得ながら医師に対し、手順書の理解促進のための周知・広報を図る。また、手順書を発行する医師の負担を軽減するため、医師が簡易に作成できる様式例の検討や看護師の裁量をより拡大するなど、現在の標準的な手順書例を改定する。
→ 令和5年度検討開始、遅くとも令和6年度措置
③ 特定行為(診療の補助)について、その運用状況と地域医療におけるニーズを現場の医師及び看護師等から把握し、特定行為の拡充について検討する。
→ (前段)令和5年度 措置、(後段)令和6年度検討開始、 令和7年度結論
c 厚生労働省は、上記各措置を円滑に実施しつつ、①地域の在宅患者に対して最適なタイミングで必要な医療が提供できないため患者が不利益を被る具体的状況や②そのような具体的状況において医師、看護師が実際に果たしている役割や課題を令和6年度及び7年度に調査し、更なる医師、看護師間でのタスクシェアを推進するための措置について検討する。その際、限定された範囲で診療行為の一部を実施可能な国家資格であるナース・プラクティショナー制度を導入する要望に対して様々な指摘があったことを適切に踏まえるものとする。上記検討の間においても、離島・へき地等において特区制度を活用した実証の提案があった場合は、その結果も踏まえて所要の対応を行う。
→ (前段)令和6年度及び令和7年度措置、(中段)令和7年度結論、 (後段)令和7年度までの間措置
まとめます。
在宅医療分野における医師・看護師のタスクシェアが内閣府で議論され、実施に踏み出しています。近い将来に実現されそうな未来像について、閣議決定の内容から注目ポイントを5つ挙げてみました。
看護師が医師の包括的指示を受けて行い得る業務が明確化される。
看護師限りで実施可能な行為の範囲の具体例が示される。
特定行為研修は現場におけるアウトカム評価で代替できるようになる。
特定行為が拡充される。
限定された範囲で診療行為の一部を実施可能な国家資格であるナース・プラクティショナー制度の導入については検討する。
内閣府. 『規制改革実施計画』(令和5年6月16日閣議決定)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/program/230616/01_program.pdf
■ 編集長
byc (bycomet) Editor, Director & Physician
2007年からブログやツイッターで活動を開始。ウェブマガジン「地域医療ジャーナル」(2015-2023年、有料会員数10,886人月)、オンラインコミュニティ「地域医療編集室」(2018-2022年、累積登録40人)を編集長として運営。2022年にはオンラインプラットフォーム「小さな医療」を開設。現在、登録会員数120人。
地域医療に携わる医師・編集長として、エビデンスに基づく医療の実践と情報発信をつづけています。
■ 小さな医療 Discord
https://discord.com/invite/hqhYRV3PJm
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