Spliceは世界中のプロデューサーが使えるロイヤリティフリーのサンプルマーケットとして、いまや定番インフラになっている。サブスクさえ払えば、高品質なループやワンショットを無制限にダウンロードできて、権利も追加ロイヤリティなしでクリアという意味では、確かに「神サービス」の側面がある。 一方で、同じサンプルを誰でも使える「非独占ライセンス」であるがゆえに、サウンド面での差別化が非常に難しくなるという根本的な問題も抱えている。 ループをメイン素材として使えば使うほど、「その曲の核」と「みんなが自由に使える共通素材」が限りなく近づいてしまい、オリジナルとしての説得力がどんどん薄れていく。「非独占サンプル」が抱える2つの大きなリスク1. サウンドの被りリスクSpliceのサンプルはすべて非独占で、同じ素材を複数のアーティストが別々の曲で使うことが前提になっている。これは法的には問題ないが、サウンド面では明確なリスクだ。有名なループやボーカルは、メジャー曲でもそのまま使われるケースがある。その結果、インディーのトラックとメジャー曲が「同じループ」を共有してしまい、後発の側が"二番煎じ"に見...