先日Vitalik氏、Glen Weyl氏、Puja Ohlhaver氏の3人がSoulbound Token、いわゆるSBTに関する37ページの論文を発表したのをご存知でしょうか?
この論文は暗号技術の革新及び、この領域の次のフェーズの基盤となるものでDeFiやNFTの次元を超え、DeSoc(分散型社会)へ私たちを移行させるものです。
そのために私たちがいまSBTについて知っておくべきこと、そしてこれから起こること。
今回はLeo Glisic氏に協力していただき、要約してまとめました。
Soulbound Tokenとは、簡単にいうと譲渡不可なトークン。SBTと略されることが多いです。
SBTを活用することで以下のようなことが可能になります。
まずはSBTによって生まれたあたらしい概念「Soul」についておさらいしましょう。
SBTが入っているウォレットのことをSoul(魂)と呼びます。
またSBTはSoulに紐づいて発行されるイメージです。
このSoulは人と人(ウォレット間)を行き来することはできません。
ここで押さえておきたいのは、一人が複数のウォレットを所持可能なので複数のSoulを持つことも可能で、それぞれで別々の人格を表現したい時に非常に有効です。
SBTの非譲渡性を活かすことで以下のような活用方法も期待できます。
人間であるかの確認(本人確認も含む)
所属するグループやコミュニティを示す
学校の出席率や資格、経験など
過去の契約内容やそれらを守ったかどうか
また譲渡不可能な権利を示すことにも優れていますね。一部例を挙げてみます。
議決権
投票権
財産権
キャッシュフロー権(配当、利子など)
アクセス権(チケット等も含む)
これらのプロパティを組み合わせることによって、いままでWeb3に存在しなかった(厳密には実現が難しかった)サービスや仕組みが実現可能になりました。
それでは順番に見ていきましょう。
信用は日常生活で必須のものだ。金融の文脈では信用をもとにお金を借りることだってできる。
それをWeb3で実現するのは今まで困難でしたが、SBTを活用することで実現できるかもしれません。
特に無担保ローンはいまのDeFiでは到底実現不可能だろう。
SBTではクレジットヒストリーのようなものをSoulにつけることで信用をつけることも可能になります。
それがNFTでは何故難しかったかというと譲渡可能だったからです。信用を他の人に移転することができてしまったら、良い評判でも悪い評判でも大問題でしょう。
そんなレピュテーションに関するものは、写真やビデオに対する信憑性の担保にも活用が期待されています。
例えば、ディープフェイクの検証を可能にする試みもあったり。同様にアーティストは自身のSoulからNFTを発行することで発行者(作者等)の証明にも活用できます。(この場合、SBTは譲渡できないENSのような立ち位置になる)
NFTは財産権を示すことに利用できました。しかし、SBTを利用することでNFTより細分化した権利を譲渡できない形で付与することができるようになります。
使用権、収益権、転賃権、抵当権などの担保権などでしょうか?
例えばある特定のコミュニティや人だけにユーティリティを付与したい場合にも有効ですね。
シビル攻撃とは、ユーザーが複数のアカウントを作成し攻撃することを指します。攻撃と言っても、複数アドレスを使ってAirDropの抽選に参加したり、1アカウントで1投票できるような仕組みで複数アカウントを利用し不正を行うことなども含みます。
従来のサービスではシビル攻撃に対する完全な対策が難しく、PoWやPoSなどのコンセンサスを例に挙げてもあくまで攻撃者にメリットが少ないと見せる事によって事実上防いでいます。
そこをSBTを利用することで、解決できる部分があるかもしれません。
例えば下記の部分で有利に働きます。
ソーシャルメディア
DAOのガバナンス
AirDrop
PoSの更なる非中央集権化
チケット販売
SBTを活用して分散化の測定が可能になる。分散化の測定だけ聞くと想像が難しいですよね。
ある特定のグループに対して投票を行った際に、全員のSBTを見ることで、似たSBTを持っている人たちの集団の場合は、分散化の度合いが低いと捉えることができます。
よりフェアな意見を集めて活かしたいときや特定の集団からの意見に偏らせたいときには、SBTの相関性を見ることで、分散化の測定を行い様々なものに活用可能です。
また予測市場への活用にもSBTが期待されています。
進行方向と逆方向に進むベルトコンベアの上に飛行機が乗っていると仮定します。
果たしてこの飛行機は離陸可能でしょうか?
ちょうど目の前に100人いたので投票形式で聞いてみましょう!
100人の中には、技術者や宇宙飛行士、物理学者から看護師、ニート、学生など様々なバックグラウンドや職業の人がいるとします。また、どちらかに絶対投票しないといけません。
この場合、投票形式なので「離陸できる」か「離陸できない」の結果になりますね。
一般的な投票方法だと、1人1票なので投票する人がどんな人であれ重みは変わりません。
しかし予測の精度を上げたい場合は、物理学者などの意見を優遇(優先)して票の重みを上げるべきですよね。
それらの票の重み付けの部分をSBTを参照して仕組み化できるということです。
プログラマブルなプライバシーによって、プライベートSBT(秘匿化されたSBT)を自らマネタイズできます。
個人情報の提供はサービスに依存することが多く、細部までコントロールすることは難しいです。(基本的にユーザーは運営側の利用規約に同意しなければサービスを利用できないことも。)
SBTを活用することで、自分の個人情報がどのように利用されるかを選択し、提供した情報に対する対価を受け取ることを仕組みとして可能にできます。
例えば、自分の情報を一部マスクした状態でAI開発会社に提供し、開発に貢献しながらお金をもらえたり、もちろん情報を一切提供することなく自分に留めておくことも可能です。
このような選択ができる環境ってすごくいいと思うんですよね。
現在のリカバリー方法はマルチシグなどを利用する必要があり、多くの信頼と維持コストが必要です。
その代替案として生み出されたのがSBTコミュニティを利用した復元方法です。
まず失ったSoul(ウォレット)を復活させるためにSBTコミュニティからランダムに数人を選出します。
SBTコミュニティには同じSBTを保有している人たちが所属おり、関係性が記録されています。
選ばれた人たちがSoulの復元に同意したらSBTの再発行ができます。
今までは誰かに依存し信頼する必要があったものをSBTコミュニティの力で解決できる未来も。
以下のものは一部現在のNFTでも一部再現可能ですが、このような使い方もできるでしょう。
あるイベントに5回中3回参加したとしましょう。この場合の記録としてSBTを利用。
特定の複数のメンバーシップがある場合、ガバナンスの比重を重くする。
SBTの組み合わせによって、メーリングリストのフィルタリングする。
特定のSBTを所持している人をキュレーションしマッチングする。
SBTには様々な活用方法があり、まだまだ登場してから日も浅いのでこれからも新たなユースケースをどんどん生み出せていけそうです。
これらの機能によって、無担保融資やBOT対策、改良されたAirDrop、より正確な予測市場、分散化の促進、個人情報の収益化、コミュニティでの回復など、いままで実現が難しかったものも可能にできます。
更に深掘りするとSBTを活用することにより、信用スコアや人間関係などの実社会の人間関係のようなものをWeb3に持ち込むことで、最初に挙げた「DeSoc」の文脈では真価を発揮できるかもしれません。
DeSocが広がることで、物理世界と仮想世界のより隔たりのない橋渡しを実現し、金融の進化を始めとする社会的基盤をWeb3で提供できる未来を実現可能にしてくれます。
DIDと同様にブロックチェーン上の情報を、実世界の代替のような形で実装していく上で重要なキーとなりうるSBT、今回の情報に加えてなにか実用性について考えてみると面白いと思います。
Thank you so much Leo Glisic! 😄
協力: Leo Glisic氏 / SBTのスレッド

