
楽曲をアップロードした後、通知画面を何度もリロードしてしまう。「いいね」の数やコメントの内容で、その日一日の気分が決まってしまう。
もしあなたが今、そんな状態にあるのなら、少し立ち止まって深呼吸をするタイミングかもしれない。
誰かに認められることは素晴らしい喜びだ。しかし、「褒められること」を創作の第一のモチベーション(燃料)にしてしまうと、その旅は途端に辛く、険しいものになってしまう。
今日は、なぜ承認欲求を燃料にすると苦しくなるのか、そしてどうすればその呪縛から解き放たれ、自由な創作を取り戻せるのかについて話していく。
褒められることをゴールに設定した瞬間、私たちは無意識のうちにマーケティング的な思考に陥る。
「どういう曲なら受けるか?」
「今のトレンドは何か?」
「誰に嫌われないようにするか?」
このように「他人の期待」という枠の中に自分を押し込めようとすると、アートが持つ本来の「自由な創造性」は光を失ってしまう。
結果として生まれるのは、技術的に整ってはいても、あなたの魂が乗っていない「製品」のような音楽だ。「自分らしさ」を犠牲にして得た賞賛は、一瞬の安らぎにはなっても、深い充足感を与えることはない。
賞賛をモチベーションにする最大のリスクは、「自分の価値」を「他人の反応」に委ねてしまうことだ。
否定的な評価への過剰反応: たった一つの批判的なコメントや、期待より少なかった再生数によって、これまでの努力が全て無駄だったかのように感じてしまう。
表現の萎縮: 「次は失敗できない」「がっかりされたくない」という恐怖から、冒険的な試みができなくなり、無難な作品作りに終始するようになる。
これでは、本来感情を解放する場所であるはずの音楽制作が、常に他人の顔色を伺う「試験会場」のような場所になってしまうのだ。
ここで、原点に立ち返ってみようか。あなたが最初に楽器を手に取ったり、DAWを開いたりした理由は何だったのだろうか?
おそらく、「誰かに褒められるため」だけではなかったはずだ。「言葉にできない感情を音にしたい」「自分の中にある世界を具現化したい」という衝動があったのではないだろうか。
アートの本質は、あくまで「自己表現」なのだ。他者からの評価は、その表現が誰かに届いた時に発生する「補完的な要素(おまけ)」に過ぎない。
「おまけ」を目的にメインディッシュ(制作)を作るようになれば、味がしなくなるのは当然のことだ。
もちろん、人間だから「褒められたい」という気持ちを完全にゼロにする必要はない。大切なのはバランスなのだ。
これからの制作では、以下の問いかけを大切にしてみて欲しい。
「もし誰も聴かなくても、私はこの曲を愛せるだろうか?」
この問いに「YES」と言える作品を作り続けるようにしよう。
評価を気にせず、自分の内側から湧き出るものに正直になった時、逆説的だが、あなたの音楽は最も輝き、結果として誰かの心を強く打つものになるはずだ。
評価はコントロールできないが、自分の作品にどれだけ愛を込めるかは、自分でコントロールできる。
どうか、あなた自身の「好き」を信じて、あなたにしか描けない音楽の旅を続けて欲しい。
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