1. 導入:私たちの食卓から「魚」が消え始めた理由「最近、家で魚を焼く回数が減った」「子どもが骨を嫌がって魚を避けてしまう」――。日々の暮らしの中で、そんな実感を抱くことはありませんか。実は、この「魚離れ」は単なる個人の嗜好の変化ではありません。日本の水産業がその存立基盤を激しく揺さぶられ始めた、国家的な「構造変化」の表れなのです。2008/2009年版の『漁業白書』を読み解くと、そこには現代の食卓が直面している危機の正体が鮮明に記録されています。調理時間の短縮を求める「簡便化志向」や、子どもが一人で食事をする「孤食」の増加といった社会的背景が、日本の伝統的な食習慣を根底から変えようとしていました。白書は、子どもたちの魚離れが将来的に「日本の水産業の健全な発展を長期的に損なう恐れがある」と、強い警鐘を鳴らしていたのです。2. 衝撃のデータ:肉の摂取量が魚を追い抜いた「あの日」日本の食文化において、歴史的な「断絶」が起きたのは2006年のことでした。長年、日本人の主食を支えてきた魚が、ついに肉にその座を明け渡したのです。 白書が示した統計は、単に「魚が減った」こと以上の事実を物語っ...