ビートメイカーはいつかAI音楽家に淘汰されるのか。この問いは、もう「いつか」の話ではなく、すでに進行中の現実として目の前にある。AI自動作曲はジャンルとムード等を指定すれば、そこそこのトラックを秒で吐き出すようになった。低予算の動画BGMや、とりあえず「それっぽく鳴っていればいい」用途では、人間のビートメイカーに声がかからずに完結する仕事が確実に増えている。音楽で食うという観点だけで見れば、淘汰はもう静かに始まっている。 特に危ういのは、自分の色よりも「早く大量に、テンプレどおりのビートを納品できること」に価値を置いていた層だ。クライアントワークで「ラテンっぽいのを10曲」「トラップを20曲」と言われて、ひたすら似たようなビートを量産するだけのポジション。ストックBGMサイトで、個性よりも本数とタグの網羅性で勝負していたやり方。これはAIと真正面から役割が被る。相手は眠らないし、文句も言わないし、修正も一瞬、単価はほぼゼロに近い。コストとスピードの土俵に立った瞬間、人間はかなり分が悪い。 だからといって「ビートメイカー終了」と断言するのも、単純化しすぎだ。歴史を振り返ると、似た話...