株価ボードが鮮血のような赤に染まり、保有銘柄が連日の急落を見せる――。投資家にとって、これほど知性と精神力が試される瞬間はありません。強気市場では冷静に受け流せたはずの「悪材料」も、市場がパニックに陥れば耐えがたい重圧となり、狼狽売りという「幼児的な論理」へと投資家を突き動かします。 しかし、投資の至宝と称されるウォーレン・バフェットや、その盟友チャーリー・マンガーは、こうした混乱を恐れるどころか、むしろ「絶好の好機」として静かに歓迎してきました。彼らは、群衆が悲鳴を上げる最中に何を「看破」しているのでしょうか。本稿では、凡庸な投資家がパニックで手放す優良資産を、莫大な富へと変貌させる彼らの「逆張り」の哲学を解き明かします。1. 届かなかった「配当金」:一時的損失の真理1963年、アメリカン・エキスプレス(AmEx)は存亡の機に立たされていました。子会社が関与した巨額の商業詐欺により、当時の金額で1億5,000万ドルという途方もない損失が発覚したのです。追い打ちをかけるようにケネディ大統領の暗殺事件が重なり、ウォール街は混沌を極めました。AmExの株価は、短期間で半分以下にまで叩...